趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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斬新な陰影表現~葛飾應為「吉原格子先の図」

 先日、日経新聞の美術記事に、この作品が取り上げられていた。

 葛飾應為

 これは葛飾北斎の娘、葛飾應為の「吉原格子先の図」と言う作品である。

 つまり江戸後期の作品なのだが、この現代的な色遣い、陰影表現の斬新なこと!
 現代の作品と言われても納得しそうになるではないか。

 この光と影の度合いは当時のリアルな明暗に近いのだろう。
 提灯に行灯で小さな炎でしか夜の闇を照らすすべのなかった当時の空気感が、そこに存在するかのように伝わってくる。

 私はこの作品を見て、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールのろうそくに照らされた一連の宗教画を思い出した。

 こうした、闇の深さにこそ、空気感、現実感が強く表れる気がする。
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西洋美術館の古代ローマ展

 上野の国立西洋美術館で開催中の、古代ローマ展に行ってきた。
 ポンペイ・エルコラーノ出土のナポリ考古学博物館の収蔵品を中心に、東大の発掘隊が発見したアウグストゥス帝の別荘の遺跡から出土した彫刻などを加えた展示である。

 圧巻は何と言っても、ポンペイの「黄金の腕環の家」のモザイク・フレスコ画と、その復元映像である。
 ポンペイの遺跡にあった壁画やモザイクの大半は、引きはがされて博物館に収められているため、in situ(その場で)で観ることができず、現場は現場、モザイクは博物館、と別個に鑑賞するしかないので、現場を訪ねてもコンクリートの塊しか目に入らず、博物館では切り離された美術品として鑑賞するしかない。

 もちろん、美術品としても大変素晴らしいものなので、それだけでも十分に楽しめるのだが、今回はCGで現場の再現映像が放映されており、これが非常に素晴らしかった。

 あんなすばらしい食堂で料理とワインに舌鼓を打ったら、どんなにか素晴らしいことだろう。

源氏物語1000年展

 横浜で開催中の、源氏物語1000周年を記念した展覧会に行ってきた。

 源氏物語の受容史と、源氏物語およびその注釈書等の写本や印刷本の展示、源氏物語を題材にした絵画作品の展示がメインであった。

 中には藤原道長の直筆の文書などもあって、なかなかに興味深い。

 かなり専門的な内容も含まれており、なかなか歯ごたえのある展覧会であったが、古い手書き写本など、大変興味深いものを見ることができた。

プラド美術館展

 Miles的・・・さんのリクエストに応えるため、昨日は急遽シェイクスピアについて書いたのだが、実は昨日は別に書こうと思っていた記事があった。

 東京都美術館で開催中の、プラド美術館展である。

 駅に張り出されていた告知ポスターに『ヴィーナスとオルガン弾き』をぶつけてきた広報担当者の心意気に感心した私は(表象学的に、オルガンが意味しているのはオルガン弾きの目線の先にあるものなのだ)、これはぜひとも行かねばならぬと思い、ダヴィンチコードの影響で最近西洋美術に興味を持ち始めたと言う友人を誘って行って来た。

 まず、いつか本物を見てみたいと思っていたエル・グレコの作品が見れたのが嬉しい。エル・グレコと言えば独特の筆遣いと青等の寒色の色彩感覚が語られるのだが、こうしたディテールは、特に筆遣いについては写真ではなかなか感じ取るのが難しく、かねて本物を鑑賞したいものだと思っていたのだが、今回ようやく本物を目にして、なるほど確かに筆遣いと色彩感覚が他にはない唯一のセンスを持ったものだ、と納得することができた。

 さらには歴代スペイン・ハプスブルク家の皇族の肖像画を眺めて、マリ・アントワネットが生まれる200年近く前のハプスブルクの姫君の顔がマリ・アントワネットにそっくりだったり、有名なハプスブルク家の突き出た顎が代々受け継がれ続けているのを見たりしてDNAと言うもののすごさを実感したり、ブルボン朝に変わってからの画風が手のひらを返すようなフレンチロココ調に大転換していたり、私の大好きなコローの風景画を先取りしたような美しい夕暮れの風景画にであったり、有名な作品は一切来ていないもののゴヤの作品を見てその個性の強烈さを実感したり、なかなかに充実した展覧会であった。

 その後友人とともに銀座に移動し、スペイン料理を味わったのだが、スペイン絵画の余韻をスペインワインとスペイン料理で膨らませ、スペインらしい濃厚な一日であった。

ムンクの『嫉妬』

 いつものように通勤電車の中で日経新聞を読んでいると、一番後ろの面の美術記事のところに、大変引力のある絵が載っていた。

 それは、ムンクの『嫉妬』と言う絵であった。

 ムンクと言うと「叫び」だけがやたらに有名だが、この『嫉妬』と言う作品はそれ以上に強い印象を感じた。

 白黒の石版画なのだが、まず、左半分は画面が真っ黒で、ナポレオン三世のようなひげを生やした男がまっすぐこちらを向いている。その背後では、真っ白な裸体の女が情人と思しき男性をまさに招き入れようとしている。男の表情が無表情で、それでも目だけは何とも言えない狂気じみた光を湛えており、それゆえにその嫉妬の強さが浮き上がってくるように思われる。

 是非ご一覧をお勧めしたい。 【“ムンクの『嫉妬』”の続きを読む】
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