趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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円高恐るべし

 円高である。

 日本経済にとっては致命的な、円高である。

 ……しかし、束の間、輸入品が為替差益による一時バーゲンセールとなるのもまた、円高である。
 
 オックスフォード大学が出している、これ一冊あればプロでも大体の用は足りるという、Oxford Latin Dictionaryという、大きすぎて片手では持ち上がらないような辞書がある。これはポンド高時代、日本の洋書店では大体5万円くらいする高価な本で(とはいえ一生ものなのでむしろ安いと言えるかもしれないが)、おいそれとは手を出せない辞書だった。

 ・・・・・それが、この円高のおかげで、直輸入なら送料込みでも18,000円程度で買えてしまう。

 また同じオックスフォード大学が出している、同じくプロでもこれ一冊でおおよその用は足りるという、Oxford Greek English Lexiconという、やはり両手を使わなくては持ち上がらない古典ギリシア語の辞書がある。

 ……これまた、かつて日本の洋書店では4万円台で売られていた高価な辞書だったのだが、今回の円高の恩恵により、なんと送料込みで12,000円程度で買えてしまうのである。

 というわけで、思わず日本円にして3万円と少し、世界経済の活性化に貢献することになってしまった(苦笑)。

 まぁ、一生ものの辞書がこの値段で二つも手に入るチャンスはそうそうなかろうから、よしとしよう。

 私は基本的に円高国益論には反対しているので、少々複雑な心境だが(それは一時的に輸入品を安く買えたとしても、その差益を上回る額の損失が雇用削減や給与カットの形で必ずのやってくる、いわば麻薬による陶酔のようなものなのだ)、まぁ目の前のチャンスは活かすことにしよう。

 ……それにしても、恐ろしい円高である。
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The way of team minus "seven" from nine handred・・・・・・

 先日開いた悟り(日本で一番金になる能力は、英語リスニング力である、と言う悟り)に従い、社内研修に応募して生まれて初めてTOEICなるものを受験した。

 この試験は、受けて初めて知ったのだが、問題文に選択肢すら描かれていないうえ、読解問題を含めて問題用紙への書き込みは不正行為とみなすという、およそ大学受験英語テクニック潰しの利いた恐るべき試験で、受験英語一筋で育ってきた私には、空爆の得意な米軍が空爆の利かないヴェトナムのジャングルでのゲリラ戦を強いられるような、勝ち目のない戦いを強いられることになったわけである。なにしろ、私を第一志望校合格へと導いてくれた、先に選択肢を読んでおいて効率よく問題の解答に結び付く記述を見つけるとか、複雑な構文をスラッシュや返り点を書き込みながら分析するなどの受験テクニックが、封じられているのである。

 しかし、のっけからリスニングで始まるこの試験が始まった時、私はむしろ拍子抜けした。驚くほど聞き取りやすく、あたかもフランクシナトラの歌声のように、一音々々をヴィヴィッドに、アルファベットに忠実な発音をしてくれているではないか。なんだ、TOEIC恐れるに足りず、などと調子に乗っていたのだが、やがて私は重大な誤算に気づいた。

 ……問題が進むにつれて、より聞き取り困難なネイティヴ発音に変わってきたのである。
 いつの間にやら「ウォーター」が「ウヮラ」に変わっている(死)

 そう、これはまさに、最初のうちは安い手をホイホイ上がらせておいて、調子に乗ったカモがレート上げに同意したところでやおら積み込みで大三元やら九蓮宝燈やらを連発する、あのチームマイナス”7”(from nine handred)関係各位の古典的賭博マージャンの手口そのものではないか!

 ……鬼畜米英(苦笑)!

 

怖いくらい通じるカタカナ英語の法則

 私は語学は好きなのだが、ラテン語やギリシア語、イタリア語の楽しさに比べるとどうも英語と言う言葉は面白みに欠け、特にリスニングの難しさ加減に嫌気がさしていたこともあって、大学受験が終わってからは積極的に勉強しようと言う気にはならなかった。

 英語の一番いやなところは、何といっても文字と発音の乖離があまりにも激しすぎることゆえに、血のにじむような努力を重ねてボキャブラリを増やしたところで、結局その覚えた単語を聴きとるためにはさらに数倍、数十倍の努力と時間が必要なことである。ラテン語やギリシア語は読むだけでよいので、リスニングなど関係ないし、イタリア語も音韻成分が日本語に近く、特に母音が多いおかげで、覚えた単語は即聞き取れる場合が多い。それに比べて英語の子音ばかり多いあの発音ときたら……

 英語を聴いていると、バルバロイと言う言葉が-「聞き苦しい言葉を話す連中」と言う意味合いであるが―まさに実感を持って思い出される。

 しかし、転職して一年たち、結局日本で一番現金収入に結び付く能力は英語のリスニング力に他ならないと言う悲しむべき現実を痛感して、金のため仕方なく、リスニングを勉強しようと思い始めた。ああ、先の大戦で世界を征服したのがトルーマンではなくムッソリーニだったら今頃日本人はもっと幸せに暮らしていたに違いない!

 しかしながら、あのやってもやっても報われない徒労感をまたたっぷりと味わわねばならないと思うと、なかなか腰を上げる気にならないのだが、ふと書店の語学コーナーにあったこの本が、リスニングに対するパラダイムシフトをもたらしてくれた。

 発音が聞き取れないのは、努力が足りないのではなく、単語を覚える際の「振り仮名の振り方が間違っている」からなのだ、と言うのである。

 知っている単語だけで組み立てられた英語が発音されると途端に聞き取れなくなるのは、単語と単語が連続する際に音韻の融合や音韻の消滅が起こるため、われわれが一生懸命覚えた「振り仮名」との一致を認識できなくなるからだ、と言うのが、脳科学の専門家のこの本の著者の見解である。

 思わず膝を叩いた。まさに、その通りである。
 
 よくよく考えてみると、たとえばこの本の例文に出てくるhow is it going?と言う会話文一つとっても、我々はまず先に「音と結び付きのない、画像情報として」「あたかも感じを覚えるがごとく」"how""is""it""going"と言うそれぞれの単語をバラバラに覚えていて、まず先に画像情報が意味と結びついていて、音を意識するのは画像情報を認識して意味を認識したのち、画像情報と結び付けられた音声情報を手繰って音に起こすのではないだろうか。そして、音に聞いた家語を理解するプロセスとしては、まず耳にはいた音をアルファベットに変換して、目の前に聞いた単語のつづりを映像として描きだし、それを画像情報として読み取って初めて、意味の認識に至るように思われる。ちょうど、日本語で会話していて、無意識に耳に入ってきた音を漢字変換しながら理解するように。だからネイティヴがこの文章を、この本に従えば「ハゼゴン?」と発音した場合、how is it goingという画像情報に変換することができず、理解できないということになるのだろう。

 そこでこの本の意見では、「振り仮名をふり直す」ことを提唱する。what time is it now=掘った芋いじるな、式に、である。そして、複数の単語が並んだ時に生じる、単語間での音韻の融合や音韻の省略についての法則を示し、「正しい振り仮名の振り方」を指南するのがこの本なのである。

 たとえばhow is it goingの場合、how is で ow iと三連続する母音は最初のoだけ残り、あとは消滅する、itのiは実際にはエのほうが近い、it goingでt gとニ連続する子音は片方が省略され、gとtではgの方が子音として強いため生き残るのはgのほう、と言う具合である。

 このやり方であれば、文章に「正しい振り仮名を振れるようになり」、英語の理解が進む、と言う。

 確かに、学校英語において、単語ごとの発音は習うにしても、単語が並んだ時の音韻の変化については全く明示的に習った記憶がないし、それを問う入試問題も見たことがない。しかし、これこそ英語リスニング力のキーとなる知識ではなかろうか。

 実はこうした考え方は、ラテン語やギリシア語の古典詩の韻律分析の際に、音節の長短や韻律構造の分析を行う際にごく普通に行われている。ホメロスとオウィディウスを原文で読むことを楽しんでいる私には、実は慣れ親しんだ作業に他ならない。

 散文でこれをやるのは少々味気ないし面倒くさくもあるのだが、このやり方ならばあの蛮族語のリスニング能力養成という”十字架の道行”にも、何とか耐えられるような気がしてきた。

新しいおもちゃ

 先日、さる洋書の充実した書店に立ち寄った際、新しいおもちゃを発見した。

 持ち歩きようの、軽くてコンパクトな古典ギリシア語辞典である。
 ラテン語ならば従来から軽くてコンパクトなポケットサイズの辞書があったのだが、ギリシア語となるとハードカヴァーの持ち運ぶには少々重すぎる辞書しか知らなかった。

 これでギリシア遺跡めぐりの旅に行ける!

 ……その前に現代ギリシア語を勉強しろ、と言われてしまったら、もっともな話なのだが(苦笑)

ソフィスト教育実地訓練

Miles的・・・さんより、新たにお題を頂戴した。



 5/5は、子供の日、ナポレオン1世の命日、およびT・F氏(筆者注;私です)の誕生日である。これら3つの自称が同日であることに関し、歴史的な運命あるいは必然性があるという見解と無いと言う見解がある。これらの見解につき、あなたの思うところをブログにアップしなさい。


 いつもながら無理難題である。
 しかしながらこのような無理難題を示されると、ついつい元受験生の血が騒ぐ(苦笑)。そこで今夜は、今はもう無い”二次試験”の論文答案風にこのお題にお答えしたいと思う。


(解答例)
 5/5は、子供の日、ナポレオン1世の命日、およびT・F氏の誕生日である。これら3つの事象が同日であることに関し、歴史的な運命あるいは必然性があるという見解と無いと言う見解がある。これらの見解について検討を行うにあたり、前提として、運命および必然性の定義および両者の関係がまず問題となる。
 一般に、運命とは、将来の事象が当事者の意思の及ばない何らかの要因によってあらかじめ不可避的に定められていることと考えられる。このような運命が実在するか否かは議論の余地があるが、題意より、本問においては運命の実在を仮定して議論を進めることとする。これに対し、必然性とは、ある事象と他の事象との間に、一方が生じるためには他方も生じなければならないと言う論理的・普遍的な関係があり、両者が単独で発生することができないことを言うと考えられる。そうだとすれば、必然性のある複数の事象は、当事者の意思に関係なく不可避的にあらかじめ定められている以上、運命の定義にも該当する。しかし、運命の実在を仮定した場合、必然性の見られない事象であっても、何らかの力により当事者の意思と関係なくあらかじめ不可避的に定められていると観念することは可能である。以上より、両者は、運命の定義が必然性の定義を包含する関係にあるといえる。
 以上を踏まえ、本問においては(1)必然性の有無(2)運命の有無という2段階に分けて議論を行うことが適切である。

 まず、必然性の有無の見解について議論する。
 思うに、本問で問われている三者の関係に必然性を認めるためには、それぞれの事象が5/5に生じることについてそれぞれに必然性が認められることが必要である。なぜなら、三者の唯一の客観的共通点は5/5と言う日付だけであるから、三者が5/5に生ずることに必然性を認めるためには、三者すべてが5/5と言う日付との間にそれぞれ必然性を有することが必要だからである。
 そこで、各事象が5/5と言う日付との間に必然性を有するか否かを検討することとする。
 この点、5/5と言う日付がナポレオン1世の死や子供の日の制定およびTiberius Felixの誕生よりも前に存在した以上、5/5であるためにはその日にナポレオン1世が命日を迎えなければならない、Tiberius Felixが生まれなければならない、子供の日でなければならない、と言う関係は成り立たない。以上より、三者が同日であることには必然性が認められない。
 よって、三者が同日であると言う見解は客観的に誤っているが、三者が同日であることに必然性が無いと言う見解は客観的に正しいと考える。

 次に、運命の有無について議論する。この議論に関しても、三社の唯一の客観的共通点が5/5と言う日付しかない以上、3社すべてに運命が認められることが必要である。
 この点、5/5が子供の日であることは祝日法により定められており、個人の意思とは無関係であることから運命が認められる。次に、ある個人の命日が特定の日付であることについて運命を否定しうるのは唯一自分の意志に基づく自殺の場合飲みと言える。これに関し、ナポレオン1世の諸説ある死因について、自殺と言う説がまったく唱えられていないことから、ナポレオンの命日が5/5であることは当事者の意思を問わないので、運命と言える。
 次に、Tiberius Felix氏の誕生日であるが、生まれてくる子供が生まれるべき日は、生まれてくる子供の意思はまったく介在していないので、運命と言える。
 以上を総合的に考慮すると、3者がいずれも5/5であることはすべて運命によるものであり、従って三者が同一の日であることもまた運命によるものと言える。
                   、
以上より、必然性があるという見解は誤りであるが、運命があるという見解は正しいと言える。


 さてさて、Miles的・・・さんのリクエストに叶う答案になったかどうか。はっきり言って空虚な言葉遊びだが、こうした”指先”三寸でそれらしい議論を展開して人を煙に巻くというのは、なんだか古代ギリシアのソフィストになったような気分でなかなか楽しいものである(笑)。

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