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趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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オーケストラ・シンポジオン

 エンリコ・ガッティの項にも書いたが、私はガット弦の音色が心底好きである。
 ガット弦の音色のみならず、古い時代のモデルの楽器~細いパイプをくるくると巻いただけの、ヴァルブのないホルンやトランペット、すべて木でできたフルートなど~の音色が、心底好きなのである。

 こうした古い時代の-特に、演奏する作品が作曲された時代のモデルの-楽器を、「同時代楽器」とか、「オリジナル楽器」などという。そして、このような楽器を集めて作ったオーケストラと言う非常に贅沢な団体が、日本にもいくつかあるのである。

 そんな同時代楽器オーケストラのひとつ、オーケストラシンポジオンのコンサートに今日行ってきた。

 演目は、ロッシーニの「絹のはしご」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、そしてベートーヴェンの交響曲第7番、と言うものであった。

 この団体は、もともと音量の小さい同時代楽器を使用しているにしてはかなり大きな音量を出すことを得意としており、音楽的傾向も、血沸き肉踊るような生き生きとした、熱い演奏を好む団体である。

 ロッシーニの序曲は、最大の魅力であるロッシーニ・クレシェンドも生き生きとした、大変楽しい演奏で、メンデルスゾーンも、速いテンポと振幅の大きな強弱の表現で熱演が繰り広げられ、大変楽しめる演奏であった。

 そして休憩を挟んで、いよいよベートーヴェンの第七交響曲である。私はこの曲が大好きで、特に第二楽章など、いつ聴いても魂を揺さぶられるような気がする。期待に胸を膨らませて、第一楽章の開演を待つ。

 冒頭一発目の和音からしてパワフルで、序奏部の堂々たる雰囲気も大変見事である。主部に入るとこの楽章を終始リードするタータタ、タータタ、と言う特徴的なリズムをしっかりと刻み、その上でやはり熱い演奏が繰り広げられていく。特に最後の部分の、ピアニシモからクレシェンドしながらフォルテシモで主題を高らかにうたう部分の盛り上がりぶりは特筆に価する。

 そしてお待ちかねの第二楽章である。このイ短調の悲しげな、抗いがたい魅力を放つ悲しげなメロディは、他の楽器に比べて厚く配したコントラバスの強固な低音に支えられ、大変美しく奏でられていく。ガット弦の弦楽器の繊細な音色でつむがれる嘆きの歌に、ナチュラルホルン(ヴァルブのない古いスタイルのホルンをこう呼ぶ)やクラリネットの暖かい音色が安らぎを与え、次第に嘆きは癒されていく。ベートーヴェンの嘆き節は、最後には必ず気を取り直して希望を取り戻すのだ。

 第三楽章に入る。この楽章はくり返しが多く、また私の好きな第二楽章が終わってしまったあとであるため、割合「聴いてるうちに飽きてきてしまう、ダレ場」と感じてしまうことが多い。
しかしシンポジオンの演奏は、例によって速いテンポと熱い雰囲気で力強く突き進み、退屈することなく聴きとおすことができる。そして第四楽章。フィナーレだけあって、今までにましてエネルギッシュで、非常に熱く盛り上がる。特に最終のコーダの部分など、クレシェンドをかけながらアッチェレランド(演奏しながらスピードアップしていくこと)をかけるなど、まるでフルトヴェングラーを髣髴とさせるとてつもない盛り上がりぶりで、それはそれは大変な熱気であった。

 ところどころ縦線の乱れが目立つところがあったにせよ、このオケらしい熱演を堪能できた素晴らしいコンサートであった。私はこのオーケストラの贔屓で、もうかれこれ5年以上このオケのコンサートに通っている。そんな中でも今回のコンサートは、5本の指に入る素晴らしいコンサートであった。
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