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趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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『間取りの手帖』~設計士はアーティストなのかエンジニアなのか

 ニュースでは連日例の設計士がらみの報道で持ちきりである。
 一生かけて返済しなければならないローンを抱え、肝心の物件が倒壊寸前、という事態に陥った被害者の怒りはいかばかりか、想像を絶するものがある。と同時に、不動産投資の計り知れぬリスクの大きさを改めて痛感しいたく恐れおののかされた。下請を当然とする建設業界の商慣行は、目的物を設計する設計士を消費者が直接選べない、監視できないと言う重大なリスクをもたらしているのだ。

 こんな報道の影響を受けたのか、立ち寄った本屋で目に留まった『間取りの手帖』と言う本を買ってみた。これは、冗談のような奇妙な間取り、不思議な間取りを集め、それそれに著者が一言ずつ突っ込みを入れると言うもので、このユニークな本の紹介記事をある雑誌の書評記事で読んだ記憶があり、もともと興味もあった一冊である。

 しかし世の中には突拍子もない間取りと言うものが存在しているものである。まるで小学生男子が昼休みに友達と書いた秘密基地の設計図のような無邪気なファンタジーにあふれた、およそ生活導線とか居住性とか、そういった実用面を感動的なまでに徹底的にオミットしているのだ。

 設計士はアーティストなのかエンジニアなのか、と言うことには議論が分かれるところであろうが、少なくともこれらを設計した設計士は絶対にエンジニアではない。アーティストである。それも、喜劇作家という種類の。

 とはいえ、芸術ないしエンターテインメントとして一流であるものは、たいてい実用には耐えないものである。繊細な細工を施したヴェネツィアングラスや薩摩切子で酒を飲むことはできるが、それを日常の晩酌に使うとなると、洗うのも大変だし取り扱いにも気配りが必要だしで大変であるから、食器管理専門の使用人を雇うような大金持ちでもない限り結局は何かの祝い事とか特別なイヴェントのときくらいしか使えないのが実情だろう。これと同じで、この芸術的な間取りも、そこに住むとなると無理がありすぎる。私は絶対に、アーティストではなくエンジニアが設計した家に住みたい。

 結局、こういう建物の存在意義は、2億3億はお小遣い、と言うくらいの大富豪が、小学生男子的遊び心を満たすためだけの壮大な無駄遣いとして楽しむ、という所にしか見出すことはできないだろう。

 しかし、例の設計士は論外としても、居住や投資のための不動産の設計の下請けがアーティスト設計士だったりした日には・・・・・・

 嗚呼、恐ろしきかな、不動産投資!!
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