趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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物量万歳~モーツァルトフォルテピアノ協奏曲全曲レヴュー(5)

 第7番ヘ長調、K.242。

 3台のピアノのための協奏曲である。
 
 今でこそ、ピアノといえばごくありふれた楽器であるが(もちろん、高いにしても)、モーツァルトのザルツブルク時代、フォルテピアノといえば最先端のハイテク楽器であり、一台だけでもものすごく貴重、それが3台もとなるともうすさまじい物量、ということになる。

 そんなやたらに金のかかる協奏曲がなぜかかれたのかというと、モーツァルトが音楽の家庭教師をしていた金持ち貴族のロドロン伯爵夫人とその二人の娘の三人の発表会用だったというわけである。

 モーツァルトの生徒といっても、所詮は素人なので、そこそこ上手に引けてもレヴェルはたかが知れている。それゆえモーツァルトは演奏する予定の人々の力量に合わせて、簡単に弾けるように作曲したのである。

 しかし、天才というのはそのような制約の舌でも、それなりの作品を仕上げるもの。本人が演奏する前提の曲のような深みは望めなくとも、3台のピアノという、現代でもかなり賢覧豪華な音響を駆使してなかなかに魅力的な作品に仕上げられている。

 ソフロニツキの演奏は、3台のピアノがうまく溶け合い、親密な響きで聞かせてくれる。オケの伴奏も、素人の発表会用というもともとの状況を忘れさせてくれる巧みさで聴き心地が良い。

 同曲異演では、ビルソンの全集のほか、ブルンナーが録音したものがある。

 いずれも絢爛豪華なこの響きを屈託なく再現した好演だ。
 ブルンナーのほうは少々テンポがもたついている感はあるもののきっと伯爵家の素人演奏家の演奏もかなり遅いテンポだったろうと推察されるので、ある意味かえってリアルとも言えよう。
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