趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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I love him,返される愛はなくても→I love you,答えてくれ

 日本で唯一、70年代、80年代、90年代、そして2000年代と4つのディケイドにわたってミリオンセラーを売ってのけたのは、ほかならぬ中島みゆきである。

 何を隠そう、私は中島みゆきのアルバムはすべて集めているファンである。そして、せんじつでたにゅーあるばむは、「I love you,答えてくれ」。変われば変わるものだ。

 70年代の中島みゆきは、失恋ソングの女王的な聴かれ方をしていて、実際作品を聴くとまさにその通りなのだが、失恋ソングの極北を極めた「うらみ・ます」をはじめ、音楽史上有数のどろどろに暗い歌ばかりを集めたアルバム「生きていてもいいですか」でその路線をやりつくしたのか、80年代に入ると彼女の作品はまた違った雰囲気を持つようになる。

 80年代の彼女は、それまでも既に彼女の作風の根幹をなしていたドラマ性の追求に向かう。小さな一曲の歌の中に、一つの世界を作り上げるのだ。彼女の詩人としての才能は一連の作品を通じて磨きあげられ、やがて「夜会」に発展する。

 そして90年代は「夜会」を通じて壮大なドラマの表現を手掛けるようになる。「夜会」のドラマ性の深まりとともに、アルバムに収められた曲の数々もまたダイナミックなドラマに彩られた者になっていく。

 そして2000年を迎えると、これまた壮大な表現は一つの完成に達したのか、アルバム「短編集」を機に、それまでの壮大な世界とは異なる、ごく小さな世界での珠玉の短編を聴かせてくれるようになっていった。

 思えば90年代までの彼女は、たとえば「I love him,返される愛はなくても」と歌っていたのだが、今や彼女は「I love you,答えてくれ」と歌うようになったのだ。

 ストレートな言葉による、珠玉の短編。枯淡の境地とも言うべき、円熟の世界が彼女の表現に訪れたようである。
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