趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

タイタス・アンドロニカス、あるいは復讐の生み出す生きる力

 Miles的…さんから、今日はシェイクスピアの命日であり、3日後は誕生日と言うことで、何かシェイクスピアネタの記事を、と言うリクエストのメールを頂いたので、リクエストにお答えしようと思う。

 シェイクスピアはたくさんの作品を残しているが、その中で異色とされる初期の作品にタイタス・アンドロニカスという作品がある。コンモドゥス帝がモデルと思われる架空の皇帝の治める帝政ローマが舞台で、血で血を洗うような凄絶な復讐の連鎖を描いた流血悲劇である。

 私はこの作品をアンソニー・ホプキンス主演の映画で初めて知ったのだが、そのすさまじいまでの復讐の力に強い印象を受けた。

 この作品は復讐と言うものの根源的な本質を描いているように思われる。それは、絶望の底で生きる力を得るための行為に他ならない。
 復讐の両側とも、家族を殺され、絶望のどん底に叩き落される。もはや人生に対してすべての希望を失った彼らが、生きる力を見出しうる唯一の行為、それこそが復讐なのだ。どんなに奇麗事を塗りたくったところで、これは決して変えることのできない人間の業であろう。

 だからこそ、劇中で復讐が成就されるのを見届けた観客は、胸がスカッと爽快になる。これこそが、悲劇の本質、カタルシスに他ならない。

 復讐と言うものの力をここまで描ききるシェイクスピアは、本当に文学史上有数の巨人なのだ。
スポンサーサイト

コメント

もう何度目のリクエスト採用でしょうか...(笑)
本当にありがとうございます。

私はシェイクスピアの中では『ロミオとジュリエット』が好きです...というかこれしか知らないんですが(笑)。
運命的に出会った二人が、運命ともいうべき誤解に誤解を重ねて、やがて・・・という悲劇を、数日間という時間設定の中で描いてしまう想像力に感動しました。

ところで、今回しかり、オペラ座の怪人しかり、Tiberius Felixさんは復習劇が大変お好きのようですね。
何か実生活で...なんちゃって(笑)

  • 2006/04/24(月) 00:03:03 |
  • URL |
  • sine nomine #-
  • [ 編集]

映画

 腕を切られたり、舌を抜かれたり、凄まじい映画でした。

 只、復讐が成就すると生きる目的も失ってしまうのではありませんかね。

  • 2006/04/24(月) 16:02:50 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>Miles的・・・さん
 オペラ座の怪人は、何よりも愛の物語であって、私は復讐劇とは思いません。私の考えでは復讐劇とは加害者に対する加害による報復であり、加害者と復讐における加害対象が一致しているものと思うのですが、オペラ座の怪人は悪事を働くものの私の復讐の定義には当てはまりませんね。Miles的・・・さんがなぜあの作品を復讐劇ととらえたのか、興味深いですね。
 アリストテレースの「詩学」(岩波文庫で出てます。論文明けにでもどうぞ!)に大いに共感する私にとって、復讐劇や悲劇は、日常生活を穏やかに温厚に過ごしていくための魂の浄化として時々必要と感じています。時々恐ろしい悲劇の鑑賞で魂を浄化するからこそ、日々のストレスにキレることなく、他者に慣用に温厚平穏な生活ができると私は考えています。

>gramophonさん

 復讐が成就すると生きる目的も失ってしまう、というのは難しい議論ですね。
 大学の一般教養で履修した心理学の授業で、何らかの目標の達成により、目標を失ってうつ病になることがある、と言うことを習いました。子供が成長して一人前になり、独立したためにうつ病になる『空の巣症候群』や、念願の出世が叶ってうつ病になる『昇進うつ病』などが例として挙げられていましたが、復讐の成就と言うのもその例に当てはまりそうですね。
 ただ、少なくとも復讐を果たすまでの被害者に、絶望に耐えて生命を維持しようと言う失われた意欲を取り戻させる力は確実にあると思います。

  • 2006/04/24(月) 23:45:15 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tiberiifelicis.blog10.fc2.com/tb.php/132-213e6991
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。