趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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踊る気難し屋~迷宮的旅行記(10)

 夜行列車のベッドで心地よく眠っていた私は、驚くほど不快なにおいに目を覚まされてしまった。
 さては隣の寝台の乗客が放屁に及んだか、と一瞬思ったのだが、その強烈な匂いは、とても人間一人によって生み出しうるレヴェルのものではない。『電車』『異臭』からすぐに『毒ガステロ』を連想してしまう日本人の私としては一瞬身構えたのだが、それにしては何となく雰囲気が暢気だ。

 窓から外の様子を見てすべてを理解した。
 
 フランスは欧州随一の農業国で、国中でチーズを作っていることからもわかるように酪農も盛んである。で、その一大酪農地帯の一大肥溜めのすぐ脇で列車が止まっていたのだ(苦笑)

 そんなトラブルの影響で、パリに到着したのは予定時刻を3時間も過ぎた頃だった。

 ホテルにチェックインを済ませ、気を取り直してルーヴルへ向かう。最近話題のモナリザや、ミロのヴィーナス、サモトラケーのニーケーなど、目玉をしっかり見た後、私の好きなイタリアルネサンス絵画とフランスロココ絵画をじっくりと鑑賞。ブーシェやフラゴナールの作品を見られたのがとても嬉しかった。

 結局この日はほとんど丸まるルーヴル鑑賞に費やし、夜はこの旅行の最大のイヴェント、ガルニエでのオペラ鑑賞である。

 演目は、ウィリアム・クリスティ指揮レ・ザール・フロリサンによるラモーのオペラ・バレ『優雅なインドの国々』である。この日の上演はOpus ArteからDVD化されているので御覧になった方も多いと思われるが、大変にクリスティらしい、微に入り細を穿つようなコントロールの行き届いた繊細かつ生命力あふれる演奏であった。古楽器で上演されるバロックオペラを生で見ると言うのは長年の憧れだったのだが、その夢もついに叶い、この上ない喜びであった。特に、当時はまだ本格的なオペラ・バレの映像は市場に出ていない状況だったので、CDで聞くだけでは判らない踊りがたっぷりと味わえたのが嬉しかった。
 クリスティは演奏のできに大いに満足したらしく、アンコールでは自ら舞台に上がってダンサーと一緒に踊りだしたほどである。彼はかんしゃく持ちの気難し屋で知られており、その気難し屋があれほどまでに大喜びで踊っていると言うのだから、演奏のできのよさは特筆すべきものだった。

 オペラの後は、これまた是非にと思っていた生牡蠣を食べに行く。ようやく月の名にRが復活したばかりでまだ旬には早かったのだが、ガルニエのすぐ近くのブラッスリーで生牡蠣盛り合わせを注文する。ウェイター氏の薦めに従って一緒に頼んだ白ワインが、銘柄名は忘れてしまったが、まるでスコットランドのウィスキーかと思うような潮の香りのする白ワインで、この潮の香りが生牡蠣と大変に相性が良く、そもそもワインからそのような香りがすることが想定の範囲外だったこともあってなかなか衝撃的な食体験であった。確かハーフボトルで16ユーロだったと思うが、いつかまた飲んでみたいものである。

 日付も変わってしまったので安全性の確保の観点から、あきらめてタクシーでホテルに戻り、その日は眠りについた。(続く)
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