趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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バロック尽くし~迷宮的旅行記(11)

 翌朝は早起きしてRERに乗り込み、9:30の開場とともにヴェルサイユ宮殿を見に行った。
 昨夜見たラモーの余韻も冷めぬまま、バロックの中心地に突入である。宮殿は本当に絢爛豪華なバロック建築で、太陽王の威光のいかばかりかを300年以上たった今もはっきりと伝えている。
 有名な鏡の間や、きっとリュリやシャルパンティエの作品が演奏されていたであろう王室礼拝堂などの絢爛豪華なスペースを見た後は、ガイドつきツアーでルイ15世の私室だったエリアに入る。
 意外や意外、プライヴェートエリアは質素な木造の内装で、驚くほど狭い。王の執務室など、日本企業の社長室の平均面積より狭いのではないだろうか。最もルイ15世の場合、あまり執務していなかったので狭くても良かったのかもしれないが(笑)
 ガイドツアーの最後に絢爛豪華な王室歌劇場を見る。建てられたのがルイ15世の治世後半のことなので、映画『王は踊る』に出てくるようにリュリの作品をルイ14世自ら踊っていた劇場ではないのだが、それでも昨夜のラモーの作品ならば上演された可能性はある。

 建物を見た後は、名高い庭園に出る。映画『リディキュール』に出てくるような王の散歩の行列が、きっとドラランドの『王の散歩のためのサンフォニー』をバックに言っていたのだろうな、などと想像しながら広大な庭園を抜けていくと、今度は大小トリアノンにたどり着く。
 マリ・アントワネットの贅沢の象徴とされている小トリアノンは、見た目は贅沢とはまったく無縁の18世紀のフランスの農家の典型的な建物で、その周りには豚や羊、アヒルなどの家畜が放し飼いされており、とてものどかな光景である。
 一方ルイ14世が建て、ナポレオンが居住に使用したという大トリアノンは大分いかめしい建物で、この二人の性格が似通ったものだったのだろうと想像できる感じだった。

 一通りヴェルサイユ宮殿を見た後はパリに戻り、またルーヴルに行って昨日見切れなかった部分を少し見た後、ホテルに戻り、今度はルネ・ヤーコプス指揮によるヘンデルのオペラ『アグリッピナ』を見にシャンゼリゼ劇場に向かう。

 シャンゼリゼ劇場は、春の祭典初演時のトマト投げつけ事件などで音楽史に名の刻まれた名門劇場なのだが、最近はバロックオペラに力をいれていると聞く。

 アグリッピナは、第4代ローマ皇帝クラウディウス帝の后アグリッピナが、連れ子のネロを次の皇帝にしようとする陰謀物語なのだが、登場人物をローマ史に求めていながら物語の筋書きは完全に創作の史実と無関係の物語で、もっぱら音楽を楽しむためのものといってよい。

 ヤーコプスの音楽作りはいつもながら見事で、特にアリアの聞かせ方が上手い。イタリアバロックのレチタティーヴォとアリアが単純に交代するだけの形式で書かれているため、アリアを上手く聞かせてくれないと退屈してしまうのだが、さすが元歌手だけあってこのあたりの聞かせ方は絶妙であった。

 ネロは男装した女性歌手によって歌われていたのだが、この歌手が大変美人で、なんだか歌まで美しく聴こえてきたのが生演奏の魔術というものかもしれない(笑)。

 (続く)
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