趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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ルネサンス三昧~迷宮的旅行記第三章(3)

 フィレンツェ二日目は朝一でサンマルコ美術館へと向かう。
 行列で有名なサンマルコ美術館だが、オフシーズンでしかも隣国でW杯開催中という絶好の閑散期であったため、人もまばらで、私は開門と同時に中に入ることができた。

 初期ルネサンスの大家、フラ・アンジェリコのフレスコ画を集めたこの美術館は、もともとは修道院であった建物で、修道士が寝起きした独房のような小部屋を飾るフレスコ画をそのまま美術館に転用したユニークな美術館である。

 フラ・アンジェリコの数々の宗教画は、緻密な遠近法とやわらかい色彩感、自然な構図と人物の表情で、イタリア初期ルネサンスの真髄を味わわせてくれる。有名な『受胎告知』も、ここに掲げられている。

 2Fのかつての修道士たちの部屋には、それぞれ一枚から二枚の宗教画がフレスコ画で描かれているのだが、この中のどれがフラ・アンジェリコの手になるものなのか、解説書を持たなかった私には判別することができなかった。しかしいずれも力作ぞろいで、水準の高い初期ルネサンスの技法で描かれている。フレスコ画の宿命で保存状態の悪いものも多く、色あせや剥落などで無残な姿になってしまった得も見受けられた。フレスコ画の保存、と言うのが美術界にとって一大テーマなのが、この美術館を見ると心から実感できる。

 サンマルコ美術館を後にした私は、メディチ礼拝堂と旨続きのラウレンティアーナ図書館に向かった。ここはミケランジェロ設計の壮重な階段を要する玄関ホールで有名なところだ。玄関ホールの空間の雰囲気をじっくり味わったアトは、中へと入る。狭い間隔でずらりと机・いすが並び、ここで往時は学者たちが研究に明け暮れていたのだろう。

 さらに奥へ行くと、グレゴリオ大教皇に関する企画展をやっていて、グレゴリオ大教皇の論文や書簡の羊皮紙写本やグレゴリオ聖歌の細密画付楽譜の古写本などが展示されていた。羊皮紙写本と言うのは、石碑同様、古のリアルタイムのラテン語にじかに触れることのできるもので、時代が近いせいか時間の重みはさほど強くは感じないものの(とはいえ6,7百年はたっているものがほとんどなのだが)石碑とはまた違った魅力があり、美しい細密画ともども眺めて楽しいものである。『薔薇の名前』を読んだことのある私には、脈々と書写をくりかえすことで失われ行く作品を維持し続けると言うロマンも感じられる。大教皇の神学論文などさすがに難しすぎて読めたものではないが、グレゴリオ聖歌の写本ならば平易なラテン語で書かれていて、多少也とも読むことができる。いつか、羊皮紙写本を手にとってページをめくりながら読んでみたいものだ。

 図書館を後にした私は、ドゥオモの脇を通ってシニョリーア広場に出、ポンテ・ヴェッキオを抜けてピッティ宮へと向かった。(続く)
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