趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・ルネサンス三昧~迷宮的旅行記第三章(4)

 ピッティ宮は巨大な宮殿をいくつかの美術館に区分した施設となっており、シネマ・コンプレックスの美術館版とでも言ったところである。

 ピッティ宮のパラティーナ美術館の名物は何と言ってもラファエッロの作品である。
『大公の聖母』『椅子の聖母』を始め、たくさんの作品を鑑賞することができ、ラファエッロを愛する私にはこの上ない喜びであった。

 またこの美術館には、有名なティッツィアーノの『改悛するマグダラのマリア』もある。もちろん、この作品は有名になるだけあって大変に美しく、説得力のある絵画なのだが、それ以上に私の心を捉えたのは、むしろ無名の作品、アッローリ作『読書するマグダラのマリア』http://www.letturaweb.net/jsp/raccolte/gcl/immagine.jsp?id_immagine=3であった。
リンク先の画像を見ていただければ明らかなように、このマグダラのマリアには『改悛』とか『荒れ野での修行』などといった悲壮感のかけらもなく、くつろぎきった表情の綺麗なお姉さんが半裸で無防備この上なくまったりと読書する姿~読んでいる本は間違っても聖書だの神学に関する書物だのなどといったお堅い本ではなく、きっとオウィディウスの「ars amatoria」か何かに違いない、とさえ思えるくらいの~世俗的・快楽主義的絵画である。私の趣向にぴったりだ(笑)。

 こうした絵画ももちろん素晴らしいのだが、それに劣らずすごいのが、美術館の壁と言う壁、天上と言う天井がびっしりと素晴らしいフレスコ画で装飾されていることである。この美術館は、建物自体がひとつの美術作品になっているのだ。

 パラティーナ美術館を見終えると、ちょうど遅めの昼食を取るのにいい時間だったので、いったん外に出てレストランを探しに行くことにした。

 アルノ川沿いの通りを一本内陸に入った小さな通りにはとラットリアやリストランテが軒を連ねていて、、昼食の場所には事欠かない。そこで、ポンテヴェッキオに通じる通りとの交差点から順次その通りのリストランテのメニューをながめ、昨日あきらめたトリッパがある店を探していくことにする。

 すると、三軒めで見つかった。店の外側には日本語はおろか英語すらなく、イタリア語しか書いていないのを好感してこの店に入ることにする。

 せっかっくなのでアンティパストにプロシュート・エ・メローネを注文した。以前も書いたが、イタリアのオレンジ色のシャリシャリしたメロンの味わいとプロシュートの相性はマスクメロンを使う日本のそれとは180度異なり、大変に相性が良く美味である。一度覚えた味というのは忘れがたく、日本では生ハムは手に入ってもそれに会うメロンがないために食べることの叶わぬこの味わいを約3年ぶりに堪能させていただいた。

 ランチでフルコースと言うのも少々重いので、アンティパストを頼んだことでもあり、プリモは省略することにしてセコンドのトリッパに移る。

 トリッパはとろとろに煮込まれ、口の中でほろほろ、とろとろととろけるような大変に素晴らしい食感を感じさせてくれる。特有のぬめり気とあいまって官能的としか言いようのない、素晴らしい煮込み具合だ。味付けはちょうどアラビアータのようなピリ辛トマトソースで、これがまたトスカーナのキャンティワインと最高の相性なのである。トリッパにこれほど合うワインもないであろうし、キャンティワインにこれほどあう食材もないのではないか。そう思えてしまうほど、このトリッパは美味かった。日本のイタリアンレストランにも、もっと定着して欲しいメニューである。

 トリッパを堪能して、精神的にはこの上なく満足したのだが、胃袋のほうは少々の不満を訴えているようで、『ドルチェでもどうですか』と言うカメリエーレ氏のお勧めにしたがって、ドルチェのワゴンを持ってきてもらうことにした。

 ワゴンには目移りを余儀なくされうほど、美味しそうなドルチェが山盛りになっていたのだが、フィレンツェ名物カントゥッチを見つけた私は、素早く意志を固め、カントゥッチを注文した。

 本場フィレンツェでは、日本の某ファミレスイタリアンチェーンやシアトル系コーヒーショップのようにエスプレッソに浸すような野暮はせず、ヴィン・サントと言うデザートワイン(ポルトやマルサラと同じ甘口の酒精強化ワイン)に浸しながら食べるのがデフォである。

 このヴィン・サントと言うデザートワインの芳醇な香りがまた、カントゥッチとの相性が良く、某ファミレスで出てくる量の3倍はあろうというカントゥッチがあっという間になくなってしまった。

 最後のエスプレッソで胃袋と精神をきゅっと引き締め、再びピッティ宮に戻って酔い覚ましの散歩がてら、今度はボーボリ庭園を散策する。

 この広大な庭園は緑美しく、ところどころに配された噴水もまた美しい。散歩するには最高の公園だ。こころゆくまで散歩した私は満足し、5時からの入館を予約しておいたアカデミー美術館に向かった。(続く)
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コメント

>アッリオリ作『読書するマグダラのマリア』

恥ずかしながら、私は覚えてないです…
しかし、「隠遁生活」というのがこういうものなら悪くないんじゃない、と思えてきますね。お風呂上りみたいに見えます(笑)

ヴィン・サントは随分長いこと口にしていませんが、あの濃厚なとろっとした舌触り、なんともいえませんね。

私の旅日記は、一日目をやっと書きましたが、前振りのTOPページが出来なくて、まだup出来ないです…

  • 2006/07/02(日) 23:45:03 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

>お風呂上りみたいに見えます(笑)

本当ですね(笑)。
こういう、ふと目に止まった無名の作品が気に入る、というのは美術館めぐりの醍醐味ですね。

ヴィン・サント、日本でも手に入りませんかね。

なつさんの旅行記も楽しみにしてますね。

  • 2006/07/03(月) 22:21:32 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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