趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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トスカーナ横断日帰りツアー~迷宮的旅行記第三章(7)

 翌朝は、昨夜のビステッカがさすがに胃がもたれており、朝食はパスすることにした。
 ホテルを出ると、最初にサンタ・マリア・アンヌンツィアータ教会を見に行った。すると副祭壇でミサが執り行われていた。このミサは現代風の対面式(司祭がテーブル型の祭壇を挟んで信者と対面してミサの儀式を行う)ではなく伝統的な背面式(司祭が信者と同じ方向を向き、壁面に作りつけた祭壇に向かって儀式を執り行う)で、司祭の一挙手一投足がいかにも恭しく、その所作の美しさに乏しい信仰心を刺激され、私は思わずそのミサに参列することにしたのであった(私はカトリックの幼児洗礼を受けているので一応参列資格はある。念のため。)。

 その後サンタ・マリア・ノヴェッラ、サンタ・マリア・デル・フィオーレ(=ドゥオモ)、サンタ・マリア・デル・カルミネ、とフィレンツェの主要な教会を見学し、まだ空腹感を感じなかったので昼食もパスして(ビステッカの腹持ちの何と良いことだろう(苦笑)電車に乗り込み、一路ルッカへと向かう。

 ルッカは私の大好きなボッケリーニとプッチーニの故郷で、この二人がどんな街で育ったのか、是非一度見ておきたいと思っていた小さな町である。


 フィレンツェからは電車でおよそ一時間ほどの距離にあり、中世の城壁に囲まれた歴史的町並みが綺麗に残った、大変美しい町だ。とくに、両手を広げたら道がふさがるような狭い路地に、5階建て・6階建ての建物がびっしりと並ぶ感じは、おお、これこそイタリアの古い町並みだ、と感動する。

 ボッケリーニが音楽を学び、楽士として勤めた大聖堂を見た後、今は記念館になっているというプッチーニの生家を訪れたのだが、残念ながら改装工事中で中に入ることはできなかった。

 気を取り直して、ルッカの魅力的な路地をたどってローマ時代の円形闘技場の跡をそのまま建物に転用し、内部は広場になっている面白い地区を通り抜けてグィジーニの塔に昇る。これは町を一望できる高い塔の上に、元祖屋上緑化と言うべきか、こんもりとした木々が茂るユニークな建物である。長い階段に耐えて屋上に出ると、大変心地よい空間が広がっていた。

 さらに城壁方面に歩いていると、のどの渇きを覚え、手近なバールに入ってエスプレッソでのどを潤す。ショーケースに並べられているドルチェに苺タルトがあり、とても美味しそうだったのでひとつ食べたが、苺は酸味と甘みのバランスが良く、その下のカスタードクリームは豊かなコクがあり、土台のタルト生地はさっくりとした食感にアーモンドの風味が豊で、大変美味しかった。こんな美味しいたるとがたったの1.1ユーロと言う安さであるのだから驚きである。

 のどを潤したところで、現在は遊歩道になっている城壁を散歩する。背の高い気が魅力的な木陰を作る散歩道はある着心地が大変よく、時間さえあればぐるりと一周したいところではあったのだが、電車の時間が迫っていたので、途中で引き返し、今度はピサへと向かう。

 斜塔で有名なピサに着くと、駅から延々20分ほど歩いて、斜塔のあるドゥオモの敷地を目指す。その道のりの途中は落ち着いた感じの住宅街になっていて、なかなか散歩心をくすぐってくれる。さらに進むと広大な植物園があり、塀を乗り越えていろいろな植物が顔を出している。その中に、日本の竹があり、ちょっとした竹やぶがあったのがミスマッチな感じで面白かった。

 ドゥオモにつく。まずは斜塔の入場券を購入し、時間が来るまでの間を洗礼堂と大聖堂の見学で過ごす。斜塔ばかりが注目されがちなピサだが、なかなかどうして洗礼どうも大聖堂も素晴らしい。大聖堂ではパイプオルガンが演奏されていて、音響の素晴らしさが印象的だった。

 斜塔の入場時間がやってきた。螺旋階段を歩いて昇るのだが、斜めに傾いた塔の中で斜め上に上る螺旋階段を上っていると、昇っているはずなのに平らなところを歩いているような感覚だったり、逆に下へ降りているような感覚だったり、空間がゆがんでいるような奇妙な感覚を覚える。降りるときなど、生まれて始めて歩いていて乗り物酔いになった(苦笑)。

 斜塔の入り口にはガリレオ・ガリレイ(私の本名を知る肩ならば、私がなぜこの偉大な科学者の名前に親しみを抱くか判るだろう。Xaxuxuxo Xaxuxixoというわたしの本名の母音の作りは、ガリレオ・ガリレイと言う母音の作りにそっくりだ。科学的センスは似ても似つかないが)がここで重力の実験をして、空気抵抗が同じなら重さに係らず同じ速度で落ちることを確認したと言うラテン語の碑文が掲げられていた。

 斜塔を降りた私はピサを後にした。途中で見つけたジェラテリアで珍しい桑の実のジェラートを食べ、再び電車に乗り込んでフィレンツェに戻る。ようやく軽い空腹感を感じたので、地球の歩き方に乗っていたリーズナブルな値段のトラットリアでタリアテッレ(きしめん状の平打ち太麺パスタ)のチンギアーレ(猪肉)のラグーソース(フィレンツェ名物のひとつ)と、サルシッチャ(ソーセージ)と白いんげん豆(これまたフィレンツェ人の大好物のひとつ)のアラビアータソース煮込みを食べた。

 チンギアーレは驚くほど肌理の細かい肉で、ラグーソースとタリアテッレに良く溶け合う、なかなか素敵な味わいであった。某番組が謝罪する羽目になった白いんげんは加熱が足りないと毒があるそうだが、じっくりコトコト煮込まれてホクホク、ほろほろになった白いんげん豆にそんな心配はなく、ピリ辛のトマトソースを吸って舌触りも滑らかなその食感に私はフィレンツェ人が白いんげんを愛する理由を身をもって知ったのであった。

 ここで満腹となり、ドルチェはパスしてホテルに戻った(続く)。
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