趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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ジェノヴァ≒横浜≒神戸説~迷宮的旅行記第三章(9)

 翌朝は早起きして、フィレンツェからジェノヴァに直通する数少ない電車に乗り込む。

 車窓の風景はトスカーナの丘を連ねる田園風景からやがて岩がちな海岸の風景に変わり、その海の色がイタリアン・リヴィエラに近づくにつれより青くより華やかに変わっていく。
 ジェノヴァに着いたのは11時少し前、駅を降り立って感じた第一印象は……

 うぅ、じめじめしている……(死)

 何度も書いたことだが私は湿度が大の苦手だ。やはり港町で海から湿気をたっぷり含んだ潮風が吹きつけるせいか、ジェノヴァはとても湿度が高い。内陸のトスカーナの乾燥した心地よい暑さになれた体に日本並みの湿度がガツンとショックを与えたのだった。

 しかし駅を出て、町に出ると、やはり港町ならではの活気と言うか小洒落感と言うか、町から放たれる雰囲気がどことなく私の住む横浜に似通っているかのように思われる。ガイドブックには神戸(残念ながら、私はまだ行ったことがない)に似ていると書いてあったが、あるいは港町と言うのは世界に共通の特有な雰囲気をかもし出すものなのかもしれない。

 ホテルに荷物を預け、市内観光に出る。

 ホテルから歴史的建築物が残る町並みの地区を通り抜けていくと、公開の中庭のような空間が幾つか見つかり、中には小ぢんまりとした魅力的なグロッタまであって、さすが中世にはヴェネツィアと富を競った町だ、と感心した。また先に進むと、ドイツ銀行の入っている建物が実に瀟洒な宮殿で、入り口のホールは全壁面・全天井がびっしりとフレスコ画で装飾されていた。この美しい宮殿がドイツ銀行の手に落ちた経緯は知らないが、宮殿の維持管理に金を使ってくれるならばいいことだ。

 いくつかの広場を抜けてドゥオモを見学し、さらにわき道を抜けて港に面した大通りに出る。この通りを歩くと大きな港の景色の背景に切り立った丘がそびえるのが見え、なかなかの風景である。道沿いにいかにも美味い魚が食べられそうなリストランテを見つけ、遅めの昼食を取る。

 夜はオペラの予定なので、ろくなものは食べられないことが確定しているため、昼は奮発しよう、と思い、まずは名物のスパゲッティ・アッラ・ペースタ(いわゆるジェノヴェーゼ、バジリコやパセリなどの香草をみじん切りにしてオリーヴオイルでこね、スパゲッティに絡めたもの)を食べる。

 香草の香りの強さが違う。一口含むなり、バジルをはじめ各種香草のさわやかな香りが鼻腔を駆け抜ける。手打ち生パスタのしっとり、もちもちとした食感がまたこのソースを柔らかく受け止め、大変美味である。地元の白ワインにぴったりだ。

 ついで、内陸のトスカーナでは食べないほうが無難な魚料理を久しぶりに注文する。今回の旅行では、内陸都市ばかり巡るので、美味い魚を食べるチャンスはこの食事を置いてほかにはない。そこで、奮発してグリリアータ・ミストを注文。

 運ばれてきた皿には、手長えび、ムール貝、小さなイカ、小さなタコ、カジキマグロの切り身、そして全長25cmはあろうかという尾頭付きのいしもちに似た白身魚が炭火でこんがりと塩焼きにされて並んでいた。
 これをレモン汁と白胡椒だけでシンプルに食すのである。

 尾頭付きの焼き魚をナイフとフォークで食べると言うのはなかなかな労働だったが、しかしナイフとフォークで食べる前提だからか、小骨は非常に少なく、ほぐしやすく美味かった。慣れてくるとわずかな小骨も取り外せるようになり、最終的にはナイフとフォークで器用に目玉を取り出して食べていると、カメリエーレ氏が興味深そうに見ていた。

 やはり港町の魚は新鮮で美味い。これまた地元の白ワインにぴったりであった。

 昼食後は、ルッコラ通りにある、かつてヴェルディがジェノヴァ滞在中に常連だったと言う歴史あるバールでカフェ・シェカラートを飲む。カフェ・シェカラートというのは夏のイタリア名物らしいのだが、エスプレッソとミルクに砂糖をたっぷり入れて、氷を詰めたシェーカーでシェイクしたという日本にはない飲み物である。私はこの飲み物についてアヴァンティというラジオ番組で数年前に知識を得ていたのだが、初めて味わってみると、ジェノヴァのこのじめじめした気候にはぴったりの飲み物のように思われた。

(続く)
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