趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・クレモナ遥かなり~迷宮的旅行記第三章(12)

 クレモナの町は中世の城壁都市の名残でおよそ円形をしており、町の名物は高さ111メートルと言う巨大な鐘楼である。
 何でもこの鐘楼はイタリアで一番高い鐘楼だそうで、この小さな町にはアンバランスなほどの圧倒的巨大さをもってそびえている。一体この町の人々はなぜこんな巨大な鐘楼を作ろうと思ったのだろうか、その歴史を知りたいものだ。

 鐘楼の隣の大聖堂は昼休みで施錠されていた。
 そこで私も遅めの昼食をとることにして大聖堂前広場の周辺を捜し歩き、小さなホテルに併設された食堂に立ち寄った。

 特にどうと言う期待もせず、何か地元のものでも食べられれば、と思って何の気なしに入ったのだが、メニューを開いて驚いた。何と、アンティパストにクラテッロ・ディ・ジベッリが載っているではないか!!

 クラテッロと言うのは、豚の尻の部分の肉だけで特別に作られた特別の生ハムで、ポー側北岸のごく少数(確か13だったと思う)の村でしか作られないという幻の一品である。あの最も有名なグルメ漫画でも大々的に取り扱われていたので、知っている人は知っているであろう。

 2年ぶりに食するクラテッロの味わいは大変に美味であった。
 最初の一口の歯ごたえは、プロシュートよりも強い弾力を感じる。しかし、ひと噛み、ふた噛みするごとに、劇的に、まさにとろけるかのように肉が柔らかくなってゆき、それと同時に熟成された肉の旨味、濃厚なコクがジワーッと染み出してくる。4口、5口噛む頃には肉はもう舌をふわりと包み込むようなとてつもないやわらかさになり、飲み込むと言うよりもクラテッロ自ら腹の中へ滑り込んでいくかのように、やさしくなでるようなのど越しを残して消えてゆくのである。これにまた、地元の赤ワインがとてつもなく合う。

 クラテッロの後には、小牛肉のエスカロップを注文した。ドライトマトとチーズで作ったソースで味付けされていて、なかなか美味であった。とはいえ、クラテッロの後では少々分が悪かったが。

 店を出て、バールでコーヒーを一杯飲んだところでちょうど教会の昼休みが終わり、扉が開かれたので、ドゥオモ内部と隣接する洗礼堂を見学し、その後はストラディヴァリアーノ博物館へ足を運ぶ。

 ストラディヴァリアーノ博物館などと言うとさぞやたくさんのストラディヴァリウスの楽器が展示してあるかと思いきや、実はここはストラディヴァリウスの工具と設計図の博物館で、楽器自体は弟子たちの作品しかない。しかし、楽器と言うものは音を出してこそのものなので、ガラスケースに並べられてしまうよりも世界中に散らばって演奏されるほうがずっといいことは確かだ。

 併設された絵画館で地元に縁のある作家の作品を眺め、そろそろ電車の時間なので駅へと向かう。

 駅には予定時間の10分前くらいに到着した。今度廃棄のときとは別経路、パルマまで直通の線の電車に乗る予定だ。
 安心してバールに立ち寄って炭酸入りミネラルウォーターを買って悠々とホームに出かけていくと、始発だから来ているはずの電車がホームにいない。やれやれ、お得意の遅れかな、と掲示板を見に行ったのだが、乗る予定の電車のところには遅れの表示はない。掲示板の表示をよくみると、そこには小さく"東"一番線、との表示が!

 そう、クレモナ駅には通常の一番線のほかに、“東”一番線と“西”一番線があり、全部で3つの1番線があったのだ!

 私はあわてて駅員を見つけ、東一番線の場所を尋ね、教えられた方向へ走ったが……間一髪、電車は待合室の影に隠れるようになった“東”一番線から出発していった。

 行ってしまったものは仕方ない。
 しかし、くれもなの電車の恐るべき少なさを十分に警戒していた私は、30分遅れたとしても余裕を持ってオペラに間に合う最後の電車の二つ前の電車に乗ろうとしていたので、落胆はしてもあわてることはなく、20分後にやってくる次の電車が何番線になるのかを見るために再び掲示板を見に行った。

 しかし、なんと、さっき乗り逃がした電車より20分早く出ているはずだった電車が30分遅れたため、あと5分で到着することを知った。この電車に乗れば、フィデンツァ乗り換えでパルマに戻れる!イタリアの電車のお得意の遅れのおかげで、帰って早く電車に乗れたというわけである。

 おかげでかなり余裕ある時間にパルマに戻れたので、また少し仮眠を取って背広に着替え、テアトロ・レッジョに『マクベス』を見るべく繰り出していった。(続く)
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  • 2007/05/24(木) 10:33:43 |
  • あやかの日記
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