趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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遥かなるサマープディング

 日英混血、オックスフォードで考古学を学び、英国軍特殊部隊SASで軍人として数々の武功を立て、その経験と学識を元に保険調査員として長年の夢であるドナウ文明発掘の資金をためる男、平賀・キートン・太一。

 この極めて個性的な主人公が縦横無尽の活躍を繰り広げる名作漫画『マスターキートン』の第一巻に収められたエピソードに、主人公キートンの少年時代の夏の思い出の象徴として、コーンウォールの名家出身の母が作ってくれたサマープディングというお菓子が登場する。

 このお菓子は、イギリスの夏の風物詩となっているものだそうで、果物をふんだんに使ったさわやかな味わいの、夏にぴったりのメニューである。ちょうど事務所が夏期休暇に入り、時間的余裕がたっぷりうまれたこともあるので、前から一度作ってみたいと思っていたこのお菓子を作ってみた。

 作り方は簡単だ。ラズベリーやブルーベリーなど、いわゆるベリー類を砂糖で煮込み、コンポート状にする。耳を切り取った薄切りの食パンをボウルに隙間なく敷き詰める。そこにベリーのコンポートの果肉部分を口切一杯詰め込み、その上にこれまた食パンでふたをする。コンポートの煮汁を、コンポートを包み込んでいるパンに均一に吸わせるようにゆっくりとまわしかける。パン全体に煮汁がしみこんだら、粗熱が取れるまで待ってラップをかけ、冷蔵庫で一昼夜冷やしながら寝かせる。真まで冷え切り、コンポートが天然のペクチンでジャム状に固まったら出来上がり。ボウルから皿に移し、ケーキのように切り分けて食する。

 漫画では、香り付けのコーンウォール特有のハーブ、ペニーロイヤルミントを手に入れるために一苦労するのだが、私も是非苦労してペニーロイヤルミントを手に入れ、漫画に近い味わいで作ってみようと思い立った。漫画動揺、入手には困難が予想されたが、グーグルで検索して見ると100件以上後でようやく通販でペニーロイヤルミントティーを扱う店を発見、懸案のペニーロイヤルミントは無事入手。

 次はベリー類である。実はこれもまた、イギリス通として名高いかの林望先生が、日本ではベリー類が入手困難なのでサマープディングはあきらめることにして、などという一文を書いていたほど入手困難らしいが、そごうの地下で無事ゲットできた。しかし……高い。とても高い。ブルーベリーにラズベリーのフレッシュをレシピの分量だけ買い揃えるだけで、軽く一晩の飲み代を越える資金(!)が消滅。まあ、この漫画にであって早6年、長年の思いのためならしょうがない出費というものだろう。

 ペニーロイヤルミントの香りをつける方法は、漫画には詳しく述べられておらず、ネット上で入手したレシピにも言及されているものがなかったので、濃い目に煮出したペニーロイヤルミントティーをコンポートを煮込む際に加えることでやってみる。結果としては、煮込む過程で香りが飛んでしまったようで、残念ながら気づくかどうか、という微妙極まりない程度でしか香りがつかなかった。こちらは、食べるときのパートナーをペニーロイヤル民とティーニすることで妥協しよう。

 果物をコンポートにするためには、どうしても一定量以上の物量が必要だから、必然的に最低ロットは3,4人分となる。とても一人では食べきれないので、Miles的…さん、コヴァさん、はらださんを試食にお招きし、一緒に味わっていただいた。

 まあ、少なくとも苦情は出なかったので、合格点はいただけたと解釈してよいだろう。自分としてはなかなかいい出来だと思っている。ブルーベリーとラズベリーのさわやかな味わいが、冷蔵庫でひんやりと冷やされて、日本のじめじめした夏の一服の清涼剤としてなかなか乙なものだと思う。イギリス人だけに食べさせておくには惜しいメニューだ。

 来週お盆で実家に帰ったら、千葉の奥地のど田舎で墓参りが終わってしまったらほかにすることもなく退屈なので、また作ってみようかな、と思う。もっとも、ラズベリーやブルーベリーがあのど田舎で調達できるかどうか、はなはだ心もとないところではあるのだが(苦笑)。
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