趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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暑い時こそ熱いものを~『夏の嵐』

 ヴィスコンティの作品をレンタル店で見つけるのはなかなか難しい。
 で、思い切って購入を、と考えると、なぜか現在店頭に並んでいるのは三枚組み18,000円のボックスシリーズしかなく、これまた購入はなかなか難しい。

 それゆえ、塩野氏の著作で言及されているこの映画を見てみたいと思いつつ、最近までなかなか見る機会に恵まれなかった。

 しかし先日、ようやくばら売りで5,000円を切るパッケージが発売され、早速購入したのだが、一向に届かない。
なぜだろうと思って注文フォームを見直してみると、なんと9月末の発売の先行予約だったのだ(苦笑)。
届かないはずである。
しかし、この夏休みにどうしても見たかったので、あちこち捜し歩いた結果、これまた新橋ツタヤで発見したので迷わずレンタルした。

 舞台はヴェネツィアがオーストリア帝国の支配下に置かれていた時代の最後の数ヶ月のときのこと。
 ひそかにいとこが行う反オーストリア・イタリア統一のための地下組織の活動に共感している主人公の伯爵夫人は、その政治思想とは裏腹に、年下の若く美しいオーストリア軍士官と道ならぬ恋に落ちる。
 罪の意識にさいなまれつつも、その罪の意識ゆえに伯爵夫人の恋は激しく燃え上がる。やがてイタリア統一を目指すサルディニアの軍隊がヴェネツィアに迫り、彼女のいとこも義勇軍を挙兵し、独立戦争の火の手が上がる。この状況下で、愛人の士官は、危険な戦場から名誉除隊するために、医者を買収して偽の病気診断書を調達するための資金を伯爵夫人に無心する。彼女はついに、預っていたいとこの義勇軍の軍資金を愛人のために横流ししてしまう。

 ところが愛人は、金を手に入れ、まんまと名誉除隊すると、もはや用済みとばかりに伯爵夫人の前から姿を消す。
 激情に駆られた伯爵夫人は、愛人の住処にしのんでゆくが、そこには自分よりもずっと若い新しい女と暮らす愛人の姿があった。

 絶望する伯爵夫人。愛人は、はじめから金目当ての付き合いだった、と追い討ちをかけるように言い放ち、夫人を嘲笑する。
 いまや嫉妬と復讐に燃える鬼となった伯爵夫人は、オーストリア軍の総司令官に事の次第を洗いざらい密告、かつての愛人を逃亡罪による銃殺刑に追い込んでしまう。

 熱い、あまりにも熱い物語である。
 オペラの筋書きそのものの、これぞイタリア!と言わんばかりの、熱い物語である。
 これを、貴族社会を熟知したヴィスコンティ監督が、絢爛豪華な一代絵巻として、これまた強烈な熱さで描き出している。

 この映画の原題は"SENSO"、すなわち『官能』というタイトルで、『夏の嵐』というのは日本の映画会社がつけたものだそうだが、ヴィスコンティはこの邦題を、作品の本質を捉えているといって気に入っていた、という話が塩野氏のエッセイにも出てきたが、まさにこの熱さ、激しさは、『夏の嵐』というタイトルにふさわしいものといえるだろう。

 暑い時こそ熱いものを、ではないが、夏の夜に鑑賞する映画としてはこれまた申し分ない名作である。

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コメント

ブルックナー

こんなところでブルックナーの7番が使われているのかと初めて見た時にびっくりしました。ヴィスコンティの映画の中でも熱いですね!

  • 2006/08/18(金) 22:33:56 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

 ブルックナーの音楽は、演奏にもよるのでしょうが静謐で瞑想的な印象が強いのですが、この映画ではまたすごく熱く官能的に響いてますね。
 ヴェニスに死すのマーラーの5番は有名ですが、なぜこちらのほうはヴェニスに死すのマーラーほど有名にならなかったのでしょう?

  • 2006/08/19(土) 11:26:46 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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