趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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タンクレディとクロリンダの戦い~職業病的同曲異演(2)

 やはり、同じ作品をノーカットで上演して、CDの枚数が一枚違うというのはどうしても気になってしまう。

 ということで第二段は、バロック黎明期の巨匠モンテヴェルディのマドリガレ曲集第八巻である。

 現存する2番目に古いオペラを残し、オペラを音楽史上欠かせない一大ジャンルに育て上げたことでその筋では有名な彼である。彼がいなければヴェルディもプッチーニも、そしてワーグナーもいなかったのだ、といっても過言ではなかろう。彼がオペラで傑作を残したのも、劇的な詩を歌い上げるマドリガルというジャンルで腕を磨いていたからであると思われる。

 彼のマドリガル曲集は全部で8巻作曲されているが、この中でも第八巻はほとんどオペラに等しい劇的な作曲法で名高く、彼の最高傑作のひとつに数えられている。演奏は今私の手許にあるのはフランスハルモニアムンディのルネ・ヤーコプスによるものとグロッサのラ・ヴェネクシアーナによるものの二種である。

 さてここでまた、両者の枚数がCD一枚分違うのである。
 ヤーコプスの演奏は2枚組み、ヴェネクシアーナの演奏は3枚組み。というわけでまたしても、曲ごとに演奏時間を比較分析してみた(下の画像。クリックで拡大します。)

 やはり全体で37分もの大差がついている。
 だが、何となく聞き流しただけでは、確かにヴェネクシアーナのほうがゆったりしている印象はあるものの、そこまで差があるようには思えない。
 そこで一曲一曲を分析してみると、この差異の主要な原因は、図の通り”Il combattimento di Tancredi e Clorinda”(タンクレディとクロリンダの戦い)と”Ballo delle Ingrate”(情け知らずの女たちのバッロ(物語歌)」にあることがわかる。

で、この二極に的を絞って聞き比べてみたのだが、確かに速度には大きな差がある。

 ヤーコプスの演奏は『歌』そのもの、メロディを歌い、リズムに乗ってすいすいと流れていく感覚が何とも心地よい。
 これに対してヴェネクシアーナの演奏は、『語り』である。
大変息が長いゆったりとした歌い方で、朗々と、時に切々と、詩を読み聞かせるかのように、ドラマティックに歌い上げるー否、語り上げるのである。

 モンテヴェルディは常に”アッフェクト"、すなわち上官の表現に心を砕いてきた作曲家であるので、より作品の本質に迫る演奏はどちらか、と聞かれれば、ヴェネクシアーナ式の語りがもっともといえる。
 しかしながら、ヤーコプスの演奏にあふれた『歌』も、決して捨てられるようなものではない。何といっても聴いている間の楽しさ、心地よさはこの演奏がピカイチである。

甲乙付けがたい、というのが今回の正直な結論である。モンテヴェルディ

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