趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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カトリック圏の音楽とプロテスタント圏の音楽

 高校生の頃だったと思うのだが、「N響アワー」でマタチッチの特集をやっていて、マタチッチがN響と頻繁に仕事をしていた時期にホルンの首席奏者だったというホルン演奏家が、こんなことを話していた。彼はブルックナーとブラームスを交互に演奏するプログラムがあった時、ブルックナーとブラームスをどう吹き分けたら良いかか悩んで、マタチッチに相談したそうである。そのときのマタチッチの回答は次のようなものであったそうである。

 『ブラームスはプロテスタントだが、ブルックナーはカトリックだ。』

 キリスト教になじみのない日本人には難解な答えだったかもしれないが、これは確かに慧眼と考えられる意見だと私は思う。

 宗教音楽に特に顕著なのだが、協奏曲や交響曲などを聴いてみても、やはりカトリック圏の音楽とプロテスタント圏の音楽は趣が異なる。これに関しては、同じドイツ語を話し、同じゲルマン民族の血を引くものの、カトリック圏で生まれ育ち活動の拠点もカトリック件に置いたベートーヴェン、ブルックナーと、生まれも育ちも活動拠点もプロテスタントのブラームスを聴き比べてみると、ケルン大司教のお膝元だったボンに生まれ、「カトリック教会の守護者」という建前の神聖ローマ皇帝のお膝元のウィーンで活躍したベートーヴェンと、これまたカトリック修道院でオルガニストとして活動し続けたブルックナーの音楽は、表面的にはあまり共通要素がないようにも思えるが、よく聴いてみるとどことなく根本的な共通感覚を感じる。しかし、ベートーヴェンを強く意識して直接の手本と仰いでいたプロテスタントのブラームスの交響曲を聴いてみると、やはり根本的な土台の異なる人がそれこそプロテスタント指揮の刻苦勉励の成果としてその音楽の真髄を学び取り、独自の感覚を加えて独自の世界を作り上げた、という印象が強く、根本的な共通要素は伺いづらい。

 日本ではどうしても『ドイツ・オーストリア音楽』『フランス音楽』『イタリア音楽』『ロシア音楽』などと、国境線ないし民族的な切り口で音楽を語ることが多くなるとは思うが、実は『カトリック』『プロテスタント』『東方正教』という宗教的・文化的切り口で見てみたほうがより正鵠を得ているのではないかと私は思うのである。
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コメント

賛成!キリスト教と安易にひとくくりにするからわからないものが、カトリックとプロテスタントと分けるだけでも、随分と違いがすっきりしてきますね。
北のプロイセンはプロテスタント、南のバイエルンはカトリックで随分気質が違います。食欲肉欲を否定せず現世肯定し、過ちは懺悔で済ますカトリックは基本的に楽天的ですから、それが作品にも反映されるのでしょう。

  • 2006/10/03(火) 12:55:38 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

ご賛同ありがとうございます!
特に同じドイツ人の地域差を考えるにはこの切り口が一番わかりやすいように思われます。
今上教皇もドイツ人ですしね。

  • 2006/10/04(水) 00:50:33 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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