趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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禁断の酒・アブサン

第三の天使がラッパを吹いた。すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちて来て、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。 この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。 (『ヨハネ黙示録』08:10~11 ~新共同訳聖書より引用~)

 ニガヨモギというのはハーブの一種で、かつてこのハーブを使ったアブサンというリキュールが大人気を博した。

 アブサンは19世紀、ベル・エポックのパリで芸術家たちに愛され、さまざまな芸術のインスピレーションとなった。ゴッホやボードレールなど、この酒を愛した芸術家たちの名は多く知られている。

 しかしアブサンには、原料のニガヨモギに由来する神経を冒す有害成分が含まれており、1915年に製造・販売が禁じられ、以来幻の酒となった伝説の一品である。

 この禁断の酒が、近年解禁されたそうである。
 なんでも技術の進歩により有害成分の除去が出来るようになったため、神経毒を除去したものが手に入るようになったのだそうである。

 で、先日、あるバーでこの魔性の酒を飲む機会にめぐり合った。

 小さなショットグラスにワンショット30ccが注がれ、チェイサーとともに供された。香りを嗅ぐまでもなく、グラスから発せられるブーケがすでに強力で、独特の香りをその店のカウンターに広げる。

 まずはストレートでぺろりと2,3度なめてみる。
 強烈な味だ。
 57度のアルコールに各種の成分が溶け込み、非常に複雑で奥行きのある風味となっている。
 
 次に、1:1の割合で加水してもらう。これでようやく強さがマティーニとほぼ同じになるというのだから大変だ。

 この酒は水を加えると白くにごる性質がある。何でも、アルコールには溶けるが水には溶けない成分が、アルコール濃度の薄まるに従って析出してくるからなのだそうだが、これがまた神秘的だ。

 また一口なめてみる。
 アルコールの刺激こそマイルドになっているものの、成分が析出したせいか、独特の風味はむしろ強められているように感じられる。

 どういうわけかこの酒は、飲むのに時間がかかる。

 もちろん、蒸留酒はゆっくりと時間をかけて飲むものであり、時間がかかるのは当然のことであるのだが、この酒の求める時間は半端ではない。

 何というか、一口ごとのアルコールの回り方がほかのどの蒸留酒よりも強いように感じられるのだ。私の場合、ウィスキーでもブランデーでも大体ストレートワンショットなら30~45分くらいかけて味わうのだが、アブサンは一口飲んだ後に次の一口に映るまでの時間が非常に長い気がする。
 また、その風味の強烈さゆえにチェイサーの水の消費量も著しく多い。

 結局、ワンショット飲み切るまでにかかった時間は何と3時間であった(!)。

 やはりアブサンは、牙を抜かれた今もなお、魔性の酒なのである。
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