趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・哀愁のヴェネツィア~迷宮的旅行記第二章(3)

地球の歩き方の地図を頼りに、フラーリ教会からサン・ロッコ信者会へと向かっていたのだが、ここで迷宮都市の本領が発揮される。

どうやら狭い道を数え間違えたのか、一向にたどり着かない。
完全に迷ってしまったようである。

そこで、思い出したのが、塩野氏の著作に出てきた『ヴェネツィア式』の歩き方の話である。
ヴェネツィアでは、住民でさえも狭い路地に迷い込んで迷子になってしまうことがあり、そんなときには、とにかく歩いているほかの人の後について歩く。そうすると、いずれ広場に出るので、いつか知った道にたどり着く、という具合である。
ヴェネツィアが、歩いてもあっという間に一回りできる小さな町であることもこの歩き方を有効ならしめていると思うのだが、とにかく私はたまたま前を歩いていた人の後にひたすらついて歩いていった。

するとあら不思議。
いつのまにやら私はリアルト橋のたもとにたどり着いていたのである。
ここまでたどり着けたことなので、また気を取り直してサン・ロッコに向かうことにした。

ところが道に迷ってうろうろしているうちに、いつのまにやら時刻は昼、大分おなかがすいてきた。
そこで私は、サン・マルコ広場の老舗カフェ、カフェ・フローリアンで昼食をとることにした。

ここは18世紀の華麗な内装が残されているという大変な老舗で、案内された室内はバロック式の装飾も美しい絢爛豪華な部屋である。メニューは老舗といっても所詮カフェなので、特にこれといった食事はなく、確かサンドウィッチのセットか何かを注文したような気がするのだが、残念ながら記憶にない。
しかし、一緒に頼んだケーキは絶品で、もれなくホットチョコレートがついてきた。このホットチョコレートがまた美味で、なるほど老舗の味というのは素晴らしいものだと実感した。

腹ごしらえを済ませた私は、再びサン・ロッコ信者会へと向かった。
今度はなるべくわかりやすそうな道を選んで慎重に進んだせいか、無事たどり着くことが出来た。

サン・ロッコ大信者会は、ティントレットの装飾画で飾られており、建物全体が美術品といってよい、素晴らしい空間だ。惜しむらくは絵の保存のため、窓という窓が遮光され、非常に薄暗い証明だけで照らされていたため、細部の鑑賞が困難だったことである。しかし、念のため持っていったオペラグラスのおかげでその不都合も多少は緩和できたので、建物の隅から隅までじっと見て回るに近いペースでじっくりと見て回る。見れば見るほど素晴らしい。天上画を見すぎて痛くなった首をストレッチしながら休ませ、ストレッチしてもなお耐えられなくなるまでじっと鑑賞して、大信者会を後にした。

迷わないようにまったく同じ道を歩き、今度はまたサン・マルコ広場に戻ってパラッツォ・デュカーレに向かう。
途中にあるハリーズバーに寄り道して、名物のベッリーニを一杯。

パラッツォ・デュカーレは共和国時代の政庁で、元首官邸・国会議事堂・官庁・裁判所・拘置所の機能を集約したような設備であった。『海の都の物語』の中心舞台中の中心舞台である。
英語によるガイドツアーに参加し、中を隅々まで見て回る。ここであの権謀術数の限りを尽くした意思決定が行われていたのかと思うと感慨もひとしおというもの。囚人が拘置所に入れられる際、窓から大運河を眺め、ため息をついたという『ため息橋』もしっかり見てきた。もちろん、カサノヴァが収監されていた独房も。

たっぷり堪能して出てきた頃には、もう夕刻であったので、夕食をとりに出かけることにした。
地球の歩き方を参考に、選んだ店はオステリア・アル・ボンベ。何でも第二次大戦のとき、空襲で爆弾(Bombe)が落ちてきたことからその名がついたのだという老舗である。 

地元ヴェネト州の白ワインに、アンティパストを省略して地元名物のヴォンゴレ・ビアンコ、スカンピとカラマーリのグリルを堪能。やはり海の都のシーフードは美味い。

満腹&ほろ酔いでメストレに戻り、その日は眠りについた。
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コメント

ヴェネツィアの迷路

 迷ったことのある人にしか、ヴェネツィアの怖さがはわかりませんね。
 17年前、燃える前のフェニーチェ座からの帰りに夕食を済ませ、人通りもまばらとなつた為か、ホテルまで辿り着けず1時間位迷ったことがあります。
 人の波に付いて行くなんて、素晴らしい発見です。

  • 2006/10/24(火) 18:24:48 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

燃える前のフェニーチェ座とは、貴重な体験をされましたね。あの『夏の嵐』に出てくるままの劇場。いいですねぇ。

しかし、ヴェネツィアの裏道は大人二人がすれ違うのに苦労するような道も多いですからねぇ。あの道の雰囲気を知っていると、ヴィヴァルディの『幽霊』など聞いてもリアリティがあるのかもしれません。

  • 2006/10/25(水) 00:57:46 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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