趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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やはり演目との相性が大事~迷宮的旅行記第二章(8)

 翌日はパルマ市内観光を楽しんだ。

 まずは朝食なのだが、シーズンオフでとても安く泊まれたこのホテル、実はパルマ市内でもかなりいい店のようで、朝食がとても豪華である。

 何しろ、名産のプロシュートがバイキングで食べ放題。
 プロシュート以外にも、コッパ(喉肉の生ハム)、ラルド(脂身の生ハム)、サラミなど、各種生肉食品がずらりと食べ放題なのである。

 わき目も降らず、朝からプロシュートにむしゃぶりつく。
 昨日はクラテッロだけを味わったので、プロシュートは最初である。やはり本場だけあって、ほかのどの町で食べたものより美味い気がする。

 こうして朝からプロシュートをたらふく食べた後は、市内で最も目を引く巨大な宮殿、ピロッタ宮を見に行く。
 内部は美術館になっていて、パルミジャーノやコレッジョなどの町の芸術家の作品が多数展示されている。

 美術館の奥には18世紀に作られた宮廷歌劇場がそのまま残されている。すり鉢型の客席は何と全木造で、非常に珍しい。こんなところでモンテヴェルディやカヴァッリ、アレッサンドロ・スカルラッティなどのイタリアバロックオペラを聴くことが出来たらさぞや感動することだろうと思うのだが、残念ながら木造の客席は強度に不安があるため文化財保護と安全確保の観点から劇場としての使用は不可能だそうである。

 ピロッタ旧の次はドゥオモへ。ここはやはりコレッジョの装飾画で有名で、たっぷりと鑑賞してきた。
 しかし私は、立て続けにコレッジョをたくさん見続けて、奇妙な違和感に気づいた。登場人物の表情が、どこかゆがんだような奇妙さを持っているのである。以前なつさんがコレッジョの絵はどことなく気持ち悪い、と言うお話をされていたこともあり、私は興味深く鑑賞していたのだが、この、少々近世の崩れた異形と言うに近い奇妙な表情が、確かにある種の気持ち悪さを私に感じさせたように思われる。

 ちょうど昼食時になったので、昼食をとることにした。

 プロシュート、クラテッロ、パルミジャーノ・レッジャーノとお目当てのものは一通り味わいつくしたので、後もうひとつ、パルミジャーノをたっぷり使った名物料理のリゾット・パルミジャーノを食べようと思い、店を探した。

 大聖堂からしばらく歩いたあたりで、ちょうどいい感じの店を発見し、入ってみる。

 例によって夜はオペラでろくなものを食べられないので、昼はしっかり食べることにする。

 アンティパストにはプロシュート・メローネ。やはり本場中の本場のそれは格が違う。
 プリモにはお目当てのリゾット・パルミジャーノ。
 リゾット用のイタリアの米、カルネローニを、パルミジャーノをたっぷり使ったクリームソースでアル・デンテに煮て(そう、『炊く』と言うより『煮る』感じなのだ)、さらに上からパルミジャーノを削って食べる。
 確かにとても美味い。美味いのだが……アルデンテのカルネローニ米と言うのが、日本人の感覚からすると、ちょっとポリポリした感じで、あたかも炊飯器の設定を間違えて清の残ったゴハンのような食感を髣髴とさせ、どうしても違和感を感じてしまう。アルデンテの米、というのはちょうど冷蔵庫に一晩入れておいたお赤飯のようなもちもちしつつもしっかりした歯ごたえのあるようなモノに違いない、などと想像していたこともあって、どうしても違和感のほうが先立ってしまった。まあ、慣れの問題だろう。
 当然のように、ハーフのランブルスコも忘れない。
 プロシュート・メローネにも、リゾット・パルミジャーノにも、この上なく相性が良かった。

 リゾットで想像以上におなか一杯になったので、セコンドもドルチェもパスして昼食を終える。すぐ向かいのバールでエスプレッソを一杯飲み、今度は川の向こうのトスカニーニの生家を訪ねる。

 ここでは館長の老紳士が解説付で案内してくれる。音楽用語は良く知ってるおかげか、イタリア語でもよく分かる。

 その後地球の歩き方を参考に小さな教会をいくつか回り、ホテルで少し休憩した後、いよいよオペラに向かう。

 パルマはイタリア有数の耳の肥えた聴衆が集まる町で、イタリアに数ある歌劇場の中でも実力は五本の指に入る、といわれていることもあり、私は大いに期待していた。

 しかしながら。当日の演目は、私が苦手とする20世紀音楽である。ブリテンの『ルクレツィアの陵辱』という、ローマの王政崩壊を題材とする作品だったのだが、これがまた典型的な20世紀音楽と言う雰囲気の難解な作品で、正直なところ結局あまり楽しむことが出来なかった。そしてリヴェンジを誓ってまたこの劇場を訪れることになるのだが、それはまた別の話。

 オペラの後はホテルに戻り、朝食のバイキングでプロシュートの食べおさめとばかりにまたたらふく堪能した後、私は一路ミラノへと向かった。(続く)
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