趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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感動の一夜~迷宮的旅行記第二章(10)

 翌朝、ホテルが格安料金で運営している空港へのマイクロバス便で空港に向かい、ベルギーへと旅立つ。

 ベルギーで待っているのは、フォルテピアノの世界有数の名手、ジョス・ファン・インマゼールのコンサートである。しかも演目は、私をクラシックの世界に引き込んだきっかけとなった一曲、そして私がこよなく愛し、いつかオリジナル楽器の生演奏で演奏を聴きたいと夢に描き続けていた一曲である、モーツァルトのフォルテピアノ協奏曲第21番である。

 ブリュッセルの空港から、ブリュッセル市内へとたどり着いたのは昼少し前であった。コンサートはナミュールで行われるのだが、ブリュッセルには行きたいところがたくさんあったので、まずはブリュッセル観光からベルギーを堪能する計画を立てていた。

 早速、ベルギー名物のムール貝の白ワイン蒸しと、トラピストビールで昼食を取る。筋金入りいのワイン党のわたしも、ベルギーに来たからにはやはりベルギービールである。

 ムール貝は、洗面器ほどもあろうかと言う大きな鉄鍋に山盛りになって供された。貝類が美味しい冬のこと、非常にぷりぷりとした身が大変美味しい。一緒に頼んだトラピストビールはアルコール度数14度と、ワインに匹敵するアルコール度数に、日本人が飲みなれたドイツ指揮のビールとはマッタック異なる、酸味と甘味の利いたむしろ白ワインに近い味わいの物で、これがまたムール貝に非常に良く合う味わいであった。

 昼食を堪能した後は、市内散策を楽しんだ。

 ますは定番、小便小僧を眺め、次にはトリビアの和泉で紹介されて有名になった小便少女を見に行ってみる。その後は市庁舎前の大広場でいかにもフランドル的な建築を眺めて味わい、ついでにその広場にある本場のゴディヴァでチョコレートバーを購入する。本場価格は1ユーロ(当時のレートでは135円前後)だったのだが、後日日本で同じものが580円で売られていたのを見て衝撃を受けた。

 本場の味は一味違うかと思いきや、日本で売っているゴディヴァと変わらない味であった。と言うことは日本でも本場の味を味わえるわけで、さすが王室御用達は良心的だなぁ、と実感したものである。

 その後、大聖堂を見学し、おやつに本場のベルギーワッフルを食べに行く。当時は日本でベルギーワッフルがちょっとしたブームになっていた頃だったので、非常に楽しみにしていた。

 ベルギーワッフルには、主に南部のワロン語圏(フランス語圏)で食されるリエージュワッフルと、主に北部のフラマン語圏で食されるブリュッセルワッフルがあり、日本ではやっていたのはリエージュワッフルであった。ブリュッセルでは当然ブリュッセルワッフルである。

 ブリュッセルワッフルは薄手の生地に生クリームやフルーツ、チョコレートソースなどをトッピングして味わうもので、エスプレッソとの相性が非常によろしい。
 私は苺と生クリームとチョコレートソースのトッピングで味わったのだが、バター風味の利いたふわふわかつもちもちの生地にトッピングの味が良く溶け合い、非常に美味であった。

 電車の時間が近づいてきたので駅に戻り、特急列車で一路ナミュールへ移動する。

 ホテルにチェックインした後、ナミュールの町を散策する。

 ナミュールの観光名所は夏季限定のものが多いため、観光名所は断念し、町並みを鑑賞して良しとした。

 そして、いよいよ待望のインマゼールのコンサートである。

 教会で行われたそのコンサートは全席自由と言うフランクなもので、開場と同時に入場した私は、最前列のど真ん中と言う、オリジナル楽器の音色を堪能するにはこの上ない座席を確保した。

 いよいよコンサートが始まる。

 まずは交響曲40番で幕を開ける。
 インマゼールの演奏は非常にキビキビとしたテンポによるもので、疾走感にあふれた切れ味鋭い演奏である。

 次に、コンサートミストレスのミドリ・ザイラーによるヴァイオリン協奏曲第三番が演奏される。ザイラーのヴァイオリンは細やかなニュアンスに富んだ繊細なもので、それがインマゼールの大胆な指揮とあいまって非常に立体感のある演奏が繰り広げられる。

 休憩を挟んで、後半はまずはファゴット協奏曲で始まった。
 ファゴットの温かみのある音色が、底冷えのする冬の石造りの教会に広がり、体は冷えても心は温まる。

 そして公演のトリを飾るのが待望のフォルテピアノ協奏曲第21番である。
 目の前およそ1.5メートルと言う至近距離で、マエストロがフォルテピアノを奏でる。その音色のニュアンスの豊かさといったら!しかも演目は、長年の夢であった一曲である。至福と言う言葉はまさにこういうことを言うのだろう。

 コンサート終了後、チケットを手配してくれたオケのマネージャーのハンマーネッケルさんの紹介でインマゼール氏と会話を交わす機会に恵まれた。マエストロは気さくに会話に応じてくださったので、つたない英語でいかに感動したかをお伝えし、最後には握手までしていただいた。

 まさに一生モノのコンサートであった。
 ホテルに戻った私はこの上なく幸福な気持ちに包まれて、心地よい眠りについた。
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コメント

ベルギーでは個人商店のチョコの方が人気がありますね。
日本で買える猪口ではレオニダスが好きです。
http://www.e-leonidas.jp/index.html

  • 2006/11/09(木) 16:34:16 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>トラピストビール
以前、テレビでベルギーの修道院製のビールというのを見ましたが、これは名前ですぐに分かりますね。
飲んでみたい!

それから、パルマ編のトスカニーニの家、館長直々の説明でしたか。
私の時は、老婦人でした。
芳名帳を見たら、日本人の訪問者もかなりいるようでしたが、イタリア語の出来ない人には英語で説明でしょうか?

  • 2006/11/09(木) 18:57:12 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

実は

私もナミュールとブリュッセルに行ったことがあります。おそらくTFさんの行かれた2年ほど前ですが。
ナミュールの思い出といえば、品の良い田舎町だった、町を挙げて蚤の市を開催していた、プレステ専門のTVゲーム販売店があった(笑)、ことくらいでしょうか。ジャパンマネー恐るべし!
ブリュッセルでは、古い古いアーケード街の中にある『ノイハウス』というチョコレート屋さんに行きました。店員がおつりを日本語で数えていた事
が印象的でした(笑)。ジャパンマネーさらに恐るべし!!

  • 2006/11/09(木) 19:44:00 |
  • URL |
  • Miles的・・・ #-
  • [ 編集]

ノイハウスは私も行きました。
ビターテイストあふれる大人の味ですごく気に入りましたよ。

ナミュールは確かに品の良い田舎町でしたね。でも、ベルギーでは日本語を話す人は客引きのお兄さんしか見かけませんでした。
ジャパンマネー凋落の証?!

  • 2006/11/10(金) 01:06:42 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

>gramophonさん

さすが世界に名高いチョコの国だけあって、個人商店の水準が高いのでしょうね。
レオニダスのプラリネは私も大好きです。
一時期、飯田橋に仕事でちょくちょく通った時期がありまして、当時はよく寄り道して買ってました。

>なつさん

 私の知人の方で、イタリア語を話さない方がトスカニーニの生家を訪ねたときは、館長が英語で解説してくださったそうです。

 トラピストビールは、日本でも時々うっているのを見かけますよ。池袋の西武デパートだったか東武デパートだったかには、日本一多種類のベルギービールの在庫をそろえた店があるそうなので、一度探されてみてはいかがでしょうか。

  • 2006/11/11(土) 01:18:47 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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