趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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待ってましたの初オリジナル~モーツァルトフォルテピアノ協奏曲全曲レヴュー(3)

 満を持しての初の完全自作のフォルテピアノ協奏曲、それが第5番K.175ニ長調である。

 あらゆる楽器の中でもフォルテピアノをもっとも得意としたモーツァルトゆえに、その腕前を遺憾なく披露できるフォルテピアノ協奏曲は、彼にとってとても重要なジャンルとなっていく。

 この作品はその第一弾にふさわしい、輝くような壮麗な作品で、非常に祝祭的なニ長調によって、17歳の若いモーツァルトが満面の笑みをたたえて遺憾なく、そして自慢げに思う存分腕前を披露する姿が目に浮かぶような曲である。

 モーツァルトも、この作品は大いに自信作で、十八番として機会があるたびに演奏していたそうである。ウィーン時代には、第三楽章を当時のウィーンの人々の趣味に合わせて書き換えてさえいる。

 ソフロニツキの演奏は、ニ長調の明るい響きを粒立ちのよい音で作り出し、好感が持てる。オーケストラもフォルテを強調して祝祭的な雰囲気を高め、好ましい演奏振りだ。差し替え版の第三楽章,ロンドK.382もさまざまな楽器の音色を味わい深く響かせ、聴き心地がよい。

 同曲異演では、私の持っている範囲ではインマゼール弾き振りによるもの、ビルソンのfpとガーディナーの指揮によるもの、レヴィンのfpとホグウッドの指揮によるものがある。聞きなおしていないので記憶ベースでの比較だが、簡単な印象は以下のとおり。

 インマゼールはこの曲の祝祭的雰囲気を味わうに適した印象でリラックスして楽しむことができるが、彼にしては少々安全運転といえなくもない。反対にビルソンは激しい勢いに満ちたアグレッシヴな演奏で、17歳のモーツァルトもきっとこんな演奏だったのではないか、と思えてくる。

 レヴィンの演奏は、随所に工夫が凝らされ、時折登場するアドリヴも面白く、大変知的で大変興味深い演奏なのだが、使用しているフォルテピアノの音色がくすんだ渋い音色であるため全体的に枯れた印象が強く、17歳の若者が得意満面見得を切る、というよりも、円熟した老大家の通好みの演奏、といった感じである。

 個人的な好みでいうと、ビルソンのとんがった演奏がこの曲に一番ふさわしいような気がする。
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