趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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更なる深化~モーツァルトフォルテピアノ協奏曲全曲レヴュー(9)

 第11番ヘ長調、K.413。

 ウィーン時代の最初のフォルテピアノ協奏曲である。

 この曲は大変叙情的な、しっとりとしたメロディが魅力的で、全体を通じて表現の深みがザルツブルク時代のそれよりも一段の深化を見せているように思われる。
 特に第三楽章のメヌエットのリズムによるロンドは、短調に転調してモーツァルトの真髄とも言える魅力的なワンフレーズの冴えがすばらしい。

 ソフロニツキの演奏は、歌心と語りの要素がバランスよく同居していて、非常に心地よく、ゆったりとしたテンポ設定もこの作品の叙情性を引き立てていて好感が持てる。

 同曲異演は、ビルソン、インマゼール、レヴィン、バーネットと4種類ある。

 バーネットは室内楽編曲版による演奏なのでここでは言及を差し控えるとして、ほかの三者の演奏の印象はざっと以下のとおりだ。

 ビルソンはいつもながら弱音の使い方がうまく、ここぞというときのフォルテとの対比をうまく演出しながら見せる演奏を繰り広げている。

 インマゼールは、彼一流のファンタジアに満ちた音色のコントロールで豊かな叙情性を発揮している。

 レヴィンは、理知的な彼にしては珍しく、この作品の本質のせいもあろうか、きわめて歌心に満ちた演奏である。とくに、他の演奏が太い音色のヴァルターモデルのフォルテピアノを使用しているのに対し、彼だけはより叙情的な音色のシュタインモデルのフォルテピアノを使用している。この音色作りの貢献も大きいといえるだろう。

 この作品の作曲は1782年の末。ウィーンに出て一年半、モーツァルトは26歳になっていた。この作品を含め、11番から13番までの三曲は、ウィーンで自分を売り込むためのコンサート用の作品としてまとめて作曲されたものである。都会の荒波にもまれ、モーツァルトの才能はいっそう磨き上げられたといえるだろう。

 やはり人間、たとえ田舎町に生まれようとも、少なくともいっぱしに食えるようになったら都会に出るべきなのだ。
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