趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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前衛音楽~モーツァルトフォルテピアノ協奏曲全曲レヴュー(13)

 第15番変ロ長調、K.450.
 レヴューも折り返し点の14番を越え、後半に突入した。
 この調子ならきっと年内に書きあがるのではないか。

 さて、第十五番はユーモラスな木管楽器の響きが親しみを誘う作品である。しかしその一方で、当時としてはかなりぶっ飛んだ印象の前衛音楽でもあるように私には思われる。
 第一楽章は、おどけたような木管合奏のフレーズで始まり、音色パレットの広いオケの伴奏とあいまってフォルテピアノが楽しく歌い上げる。第二楽章ではしっとりした弦楽とフォルテピアノのささやくようなソロがゆったりと対話を繰り広げる。特に左手の伴奏の豊かさ、饒舌さが特に耳を引く。
 そして第三楽章。これが、とてつもない前衛音楽である。
 例によってロンド形式。
 フォルテピアノソロが、ごくありふれたメロディをかなで、それにオケが追随する。それがやがて音楽が進むにしたがって、天才モーツァルトの才能の泉から湧き出るままに恐るべき斬新なメロディが相次ぎ、やがて聴く者に強烈な印象を残さざるを得ない。圧巻は、短い特徴的なフレーズを極限まで多数の転調を繰り返しながら音階を駆け上がっていく(そう、それは後の交響曲40番のフィナーレの手法と同じである)後半の部分だ。

 ソフロニツキの演奏は、かなり速いテンポでスピーディに桶をドライヴし、挑発するかのようにこの作品の前衛性を際立たせてくれている。低弦をきかせたオケの骨太な響きと、フォルテピアノの輝きのある音色が好対照で、耳にもまた心地よい。

 同曲異演ではビルソン、レヴィン、インマゼールのほか、ルービンによる演奏がある。

 レヴィンはモーツァルテウム財団が所蔵するモーツァルトが演奏していた楽器のオリジナルという、この上ない楽器を使用している。
 この曲の前衛さが彼のファンタジアを刺激したのか、レヴィンのアドリブの冴えがすばらしい。一種独特の軽やかでありながら陰のあるフォルテピアノの音色がまたニュアンス豊かにレヴィンの語りを深めてくれる。第三楽章の切れの鋭さは悪漢だ。

 ビルソンはソフロニツキ同様、早めのテンポできびきびと聞かせる。ただ、その語り口は繊細で、挑発というよりも説得といった趣がある。

 インマゼールは反対にゆったりしたテンポでじっくりと説明するかのように演奏している。弱音表現を多用した彼の演奏は、ビルソンに劣らない繊細さだが、テンポの遅さゆえに味の濃さはさらに一段強まっているように感じられる。

 ルービンの演奏は歌心豊かで、作品の饒舌さを生かしつつも豊かな歌を聞かせてくれる。これは一種独特の演奏だ。

 
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