趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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微笑む対位法~モーツァルトフォルテピアノ協奏曲全曲レヴュー(17)

 第19番へ長調、K.459。

 モーツァルトの予約制コンサートでの演奏のために書き下ろされた作品である。
 作曲されたのは1784年の12月で、このころはウィーンでのモーツァルトの人気が絶頂にあった次期で、この作品を演奏したコンサートはモーツァルトの予約制コンサートで最大の観客動員数を誇るそうである。

 この作品は、非常に親しみやすいメロディ、活躍する管楽器、オケとフォルテピアノの親密な語らい、と、大変にインティメイトな作品である。特に管楽器はアレグレットの第二楽章で活躍する。メロディが似ていることもあって、ちょっと木管楽器とフォルテピアノのための五重奏曲を思い出させる。
 しかしその一方で、特に第三楽章では、非常に高度な対位法を駆使した複雑で緻密な作曲技法で練り上げられた作品でもある。対位法というと真っ先にバッハのしかめっ面が思い浮かぶが、アマデウスの手にかかると対位法といえどもこの作品のように顔がほころんでしまうようだ。

 ソフロニツキの演奏は、室内楽的な緻密なアンサンブル、効果的な強弱のコントラスト、ゆったりとうたうような息遣いのテンポで非常に親密な演奏を聴かせてくれる。

 同曲異演は18番と同じ、ビルソン、レヴィン、インマゼール、シュタイアー、タンの五種類。

 インマゼールの演奏はソフロニツキと似た傾向で、ゆったりとしたテンポで管楽器の音色を心地よく響かせ、フォルテピアノとリラックスした会話を楽しむかのような演奏である。

 ビルソンの演奏は、やや速めのテンポにより、ガーディナーの指揮の下かなりシンフォニックな音作りのオケとともに、より対位法の緻密な構造を強く意識しつつ、滑らかで饒舌な語りを聴かせてくれる。

 一方、タンの演奏は大変に歌心にあふれている。マギーガン指揮の、これまたかなりシンフォニックなオケの伴奏に乗って、心行くまで伸びやかに歌う、そんな感じの演奏だ。

 レヴィンの演奏は立て板に水のごとく流麗な名調子で語り倒す感がある。ホグウッドの指揮の下、上記に比べるとかなり速いテンポで豪快に弾き飛ばしていて、随所に遊び心あふれたアドリブを挿入するのがいかにも彼らしい。

 シュタイアーの演奏は上記のどれにも似ていない。スピード感ではレヴィンに似ているが、気合の入り方が半端ではない。
特に第三楽章など、まるでアウトバーンをベンツが時速240キロで突っ走るかのような猛迫力で弾き飛ばす。その迫力にはただただ圧倒されるばかりだ。

 いずれにしてもこの作品は名演奏の宝庫である。
 やはり良い作品はおのずから良い演奏を導き出すものなのかもしれない。
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