趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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PAUL,あるいは失われし時を求めて

 プルーストの「失われし時を求めて」を、いつかは読んでみようと思うのだが、あの圧倒的な物量の前に、どうも手を出せないでいる。

 それゆえ、現在の私のあの作品に関する知識は、マドレーヌを紅茶に浸して一口食べると昔の思い出が鮮やかによみがえる、という有名なシーンのことだけにとどまっている。

 実は今日、まるでこのシーンのごとく、一口パンを口にして、数年前パリを旅行したときのことが鮮やかによみがえる体験をした。それは東京駅から徒歩数分、八重洲ブックセンターの少し先のガラス張りのビルの中にある、PAULという店での出来事である。

 ある友人に、そのPAULという店を勧められ、今日の仕事場がちょうど東京駅乗換えだったので、仕事帰りに寄り道し、チキンサラダ(パンつき)とグラスワインを一杯味わってきた。
 完全にパリのカフェのスタイルを日本に移植してきたようなお店で、サラダは夕食として申し分ないほどのたっぷりとした物量、白ワインヴィネガーを効かせたドレッシングがいかにもフランス風である。グラスワインも、日本では安いグラスワインをあたかも白ワインであるかのように冷たく冷やして出すようなまねをする店が散見されるが、きちんと室温で出してくれるのがまたいい。味もこれまた、カフェの典型的テーブルワインといった感じで、取り立てておいしいというほどのこともないのだが、その何気なさがまたパリらしい。

 だが、そんな上っ面のパリらしさは、パンを一口口に含んだ瞬間、吹っ飛んだ。そして、目の前に、まさに実感を伴って、パリのあの雰囲気が、ありありとよみがえってきたのだ。それはパンの香りの力に他ならない。口の中に広がる香ばしさが、パリ旅行のときに食べたパンの香りそのものだったのである。香りとともに、パリの風景が、目の前にありありとよみがえる。このパンはすごい。

 ちょっとしたプルースト気分まで味わえるパン。東京駅から徒歩数分で、パリに人っとびというわけである。
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