趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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The Highwaymanに見る、今に息づく古典の息吹

メーニナ エィデテ アーペー レーイア デョーアキ レーオス
ウーロメ ネーンへー ミューリア カィオィ サルゲエ テーケ 


 これは古典中の古典、ホメロスの「イリアス」の冒頭の原語の発音をカタカナ表記したものである。母音の長短に着目してほしい。
 長・短・短 または 長・長 の繰り返しで作り上げられているのがわかるだろう。

 このリズムはダクテュロスと名づけられ、西洋古典詩の基本リズムのひとつとなっている。

 近代史では長短は強弱に置き換えられてるのだが、この前ある音楽を聴いていて、ふとこのリズムに出くわした。

 ロリーナ・マッケニットの歌う、”The Highwayman"である。

 すっかり気に入っている”The Highwayman"だが、実は
アンディ・アーヴァインが歌っているのはオリジナルではなく、カヴァーである。

 オリジナルを歌っているのは、このアイルランド系カナダ人の女性ヴォーカリスト、ロリーナ・マッケニットなのである。

 もともと彼女が”The Highwayman"を録音する際、アンディとの共演を希望したのだが、スケジュールの調整が付かずに断念した経緯があり、アンディはこの歌をそのときに覚えたのだそうである。

 アンディの歌う”The Highwayman"は切々と語るような歌い口が魅力だが、ロリーナの歌はより朗読的というか、非常に詩のリズムを強調した歌い方になっている。

 それゆえ、メロディラインのリズムの取り方も、おなじみ長・短・短を非常に強調して歌っているのである。

 このダクテュロスというのは、物語を歌う叙事詩に用いられるリズムであったので、物語を歌うバラッドにつける曲のリズムとしてはある意味最適といえるだろう。

 ロリーナは大学では文学を専攻していたというので、この辺り計算の上のことなのだろう。2800年来の伝統が、現代POPSのなかにも息づいている、というのは、すごいことだと思う。
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