趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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エンリコ・ガッティ、あるいは命が惜しくなる響き~その2

 さてそのエンリコ・ガッティだが、最近発売したコレッリという作曲家のヴァイオリンソナタのCDでその真骨頂を味わうことができる。 

 コレッリは17世紀後半に活動したイタリア人の作曲家で、これまたヴァイオリンという楽器の魅力をとことんまで追求し、磨きに磨き上げた作品を残している非常に職人気質な作曲家である。
 彼は自分が徹底的に納得するまで作品を発表せず、彼の人生で発表した全作品を録音してもCD10枚に収まってしまうような人なのだが、そのことが物語るように一つ一つの作品の完成度はきわめて高い。一曲一曲のメロディはしみじみと心にしみてくるような味わいのあるもので、さらに音域は、ヴァイオリンが一番美しく響くことのできる人の歌声の音域の範囲内に制限されている。余計なものを徹底的にそぎ落とし、純粋に美しいものだけを取り出してできている音楽なのである。

 このような音楽は、ヴァイオリンの音色という素材の味をじっくり味わうには最適だ。それは山奥の源泉から湧き出す名水を直接手ですくって飲むような、えもいわれぬ味わいがある。

 ガッティは1996年にも同じ作曲家の別の作品を録音しているのだが、そのとき解説文にこのようなことを書いている。

 「これは、一気に飲み干してしまうワインのような音楽ではなく、イタリアワインのサグランティーノ・ダ・モンテファルコと同じで、少しずつじっくりと味わうワインのような音楽なのだ。瞑想を誘うワインのように一滴ずつ飲み、飲めば飲むほど、細部を味わえば味わうほど、筆を重ねれば重ねるほど、その光に満ちた、しかし巧みに調和の取れた、目に鮮やかな色彩の配合を味わうことができる。」(以上、CDの解説文より引用)

 これはガッティがコレッリの作品について語る文だが、それは同時に彼自身のつむぎだすヴァイオリンの音色についても当てはまる。彼の音色の一滴一滴を味わえば味わうほど、その美しさに酔いしれることができるのだ。その天からも、この作曲家の作品ほど彼のヴァイオリンに適したものはなく、また彼のヴァイオリンほどこの作曲家の作品に適したものもないといえるだろう。

 私は(CDでではあるが)彼の演奏するヴァイオリンを聴くといつも、こういうものを聴きながら生きていけるならばぜひとも長生きしたいものだ、と思ってしまう。彼の音色は酔い覚めの水のように私の体にしみこんでいく。それは私にとっての命の水なのである。


本文に紹介したCDは、ネット上の各種CDショップで購入できる。
タイトル、演奏家名、レーベル名、CD番号をキーワードにグーグルで検索すればいくつかヒットするので、興味のある方は是非。

(タイトル、演奏家、レーベル、番号、の順に)
コレッリ:ヴァイオリンソナタ集作品5 エンリコ・ガッティ、A423
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コメント

私は盲目だった。しかし今は見える。

とうとうパンドラの箱を開けましたね(笑)いきなりの1日2度更新とは流石の絶倫ぶりです。
重度の『知恵の実』中毒者は、ついにblogという名の『生命の樹』を手にし、そして永遠の『迷宮』へと旅立つのである・・・なんちゃって(笑)
無知な私はさながら不思議なダンジョンのトルネコ(Lv1)状態ですが、これから大いに探索を楽しみたいと思います。もちろん監査計画ならぬ探査計画をじっくり練って。
p.s.このダンジョンはプレステ3でも表現できなさそう・・・

  • 2005/05/18(水) 01:32:06 |
  • URL |
  • Miles的受験性活向上委員会横浜支部反町道場 #-
  • [ 編集]

ええ、開けましたとも(笑)

Miles的受験性活向上委員会横浜支部反町道場さん、ようこそ!
部屋の一つ一つに仕掛けのある迷宮のようなブログを目指してまいります(笑)
今後ともよろしく。

  • 2005/05/19(木) 00:03:55 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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