趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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見てから読む

 夏目漱石の原作を映画化した、「ユメ十夜」を見た。

 これは夢を題材にした10の連作短編で、非常に幻想的で味わいのある作品である。

 これを、10人の映画監督がそれぞれ一編ずつを映像化したのが、この映画である。

 監督の幅は広い。あの巨匠、市川昆監督も一本撮っているし、さらには初期ウルトラシリーズで数々の名作を世に送り出した実相寺昭雄監督も冒頭の作品を撮っている。監督はこれを撮りあげると残念ながら他界され、これが遺作となってしまったのはなんとも惜しまれる。
 他にも、新進気鋭の若手の監督がセンスある絵作りをあちこちで披露しているのも面白い。
 さらには、ファイナルファンタジーのキャラクタデザインを手がけた天野喜孝氏が監督するアニメ、松尾スズキが絶妙の見せ方で楽しませる一本、果てはかの名(迷?)作「珍遊記」の漫☆画太郎先生までもが脚色に加わる爆笑の一本などまで実にバラエティ豊か。

 特に印象的だったのは、第一夜、実相寺監督の作品である。冒頭の一本ということで、観客を以下に幻想世界に呼び込むか、そのトップバッターとしての役割はきわめて重要だが、さすがは実相寺監督。独特の映像センスを駆使して、きわめて幻想的な詩的映像世界を描き出し、たちまちのうちに幻想世界へ引き込まれてゆく。光と影の取り扱い、ズームアップの使い方、まさにこの人にしか作り出せない、実相寺ワールドとしか言いようのない世界がありありと浮かび上がってくるのだ。

 全体的なところでは、芸術色の強い作品とエンターテインメント色の強い作品のバランスが良く出来ていると思う。中には少々、監督の空回りが目立つ作品もないではないが。

 いずれにしても、実相寺監督はじめ、この映像芸術をあじわうには、ぜひともスクリーンで見たいものである。

 で、大変この作品が気に入ったので、原作も読んでみた。
 原作はだいぶシンプルなのだが、そのシンプルな語り口がかえって幻想を膨らませてくれるように感じられる。映画との比較を念頭において読むもよし、自分なりのイメージを膨らませてみるもよし。

 映画を見て、原作も読むと、どちらかにがっかりすることのほうが多いものだが、これに関しては見てから読んでも十分に楽しむことが出来た。
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