趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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エジプトのジュリオ・チェーザレ

 「エジプトのジュリオ・チェーザレ」は、ヘンデルのオペラの中でも、魅力的なアリアがたくさんあることで傑作と名高い作品である。

 この作品にはずいぶん前からヤーコプスによるハルモニアムンディでの録音が名盤として存在していたのだが、映像作品はなかなか製作されることがなかったようである。

 そこへ、かの才人ウィリアム・クリスティが、いつものレザール・フロリサンではなくエイジ・オヴ・エンライトゥンメントを指揮したグラインドボーン音楽祭でのライヴDVDが発売された。

 タイトルが示すとおり、舞台はローマ時代のエジプトで、カエサル(=イタリア語でジュリオ・チェーザレ)がギリシアで打ち破ったポンペイウスを追撃してエジプトにやってきたところで始まる。

 この作品、大筋では歴史に題材をとってはいるが、ディティールとなると完全にやりたい放題で、言ってみれば水戸黄門とか暴れん坊将軍に近いノリで作られているといえるだろう。

 姉弟で王位を争うクレオパトラとプトレマイオスの確執、父の敵討ちにプトレマイオスを討ち取ることを誓うポンペイウスの息子の怒り、クレオパトラのカエサル誘惑、と、いかにもバロックオペラ好みの激情にあふれた筋立てで、音楽もバロック音楽の真髄とも言うべきアッフェクト,すなわち情感の表現に満ち溢れていて大変素晴らしい。

 この素晴らしい作品を、クリスティによる完璧に磨き上げられた演奏でたっぷりと味わうことが出来る。

 オケの技術は世界最高峰のエイジ・オヴ・エンライトゥンメントであり、歌手の技量、表現力もいずれも不足はない。特に、クレオパトラ役のソプラノ歌手は小麦色の肌も魅力的な、おそらくアラブ系の血も引いていると思われる大変な南欧風フランス美人で、きっとクレオパトラ本人もこのようであったに違いない、と観客を信じさせる、これ以上ない適役であった。

 さらには演出が大変良かった。
 随所にダンスを取り入れており、それがどこかブロードウェイ風の振り付けにこっそりとバロック古典舞踊の振り付けを紛れ込ませたりして芸が細かい。そして話の流れを巧く作り出す演出でー最近の傾向を踏まえれば言うまでもないことだが、アリアを歌っている最中も決して芝居が中断することはないー、ややもするとれチタティーヴぉとアリアの単調な連続で退屈に陥りかねないバロックオペラから観客の集中をそがない凝縮した流れが出来上がっている。
 これを、歌のみならず演技についても不満を感じさせない歌手たちが演じてくれるわけである。

 このDVDは本当に名盤で、バロックオペラの最初の一枚としてもうってつけの作品といえるだろう。
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