趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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フーガの技法を聴いて初めて面白いと感じられた一枚

 とっつきにくい作品もままあるJ.S.バッハの作品の中で、一番とっつきにくい作品かもしれないのが、この「フーガの技法」ではないだろうか。

 対位法的な作曲技法については絶対の自信を持っていたバッハが、人生のしめくくり的につくったという、一大技術書ともいうべき作品で、タイトルの通り、フーガという曲集の作曲技法を極限まで突き詰めて書き上げた奥義の書といった趣である。

 したがって、本質的には技術書であって、聴いて楽しむための作品という性格は希薄だ。というわけで、ムジカ・アンティクヮ・ケルンの演奏を聴いてもヘムルート・ヴァルヒャの演奏を聴いてもグスタフ・レオンハルトの演奏を聴いても、私には難解な技術書の朗読のようにしか聞こえなかったのが正直な感想である。

 しかし、先日手にした1枚―正確には二枚組だが―は、フーガの技法に対する私の印象を一変させた。

 ヴァルター・リンマーというフォルテピアニストがORFに録音した録音がそれである。

 この録音の最大の特徴は、使用している楽器が1770年代のシュタインモデルのフォルテピアノであることである。

 これが、聴感上、非常に良い効果をもたらしていて、音色の心地よさ、メロディへの表情付けなど、非常によく工夫されていて、バッハが組み上げた一大伽藍のような音楽が、非常な立体感を持って浮き上がってくるのである。
 
 この作品を一台の鍵盤楽器で演奏するのは大変困難で、音域上の制限その他技術的な問題が山積しているそうである。ライナーノーツにはそのような難題をどう解決したかが事細かに書かれているのだが、いずれにしてもそのような解決を積み重ね―時には本来の音を1オクターヴ上げることも辞さずに―見事演奏していて、その結果はその努力に十分に報いる素晴らしいものとなっている。

 何しろ、何度聞いてもさっぱり理解できなかった私に、この作品の鑑賞を楽しませてしまったくらいなのだから!
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コメント

フーガの技法、たしかに難解ですね。
ヴァルヒャの演奏はたしかに苦手。音色に大きな変化がないのでダラダラと説教を聞かされているような気すらしますしね(笑)
個人的にはサヴァールの演奏は録音がいつもながら良いのでBGMとしてはよかったと思います。

  • 2007/05/09(水) 01:47:48 |
  • URL |
  • fratres #-
  • [ 編集]

ほう、サヴァールですか。
録音が良いと比較的理解可能性が高まりそうですね。

  • 2007/05/10(木) 01:46:10 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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