趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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オールドコーヒー~己の人生よりも長い熟成を味わう

 世の中にはコーヒー豆を10年以上熟成させて味わうという文化があるそうである。

 そうしたコーヒーはオールドコーヒーと呼ばれ、大変貴重なものであるという。

 この、めったにお目にかかれないオールドコーヒーを味わうことのできるお店の噂を耳にして、行ってみた。

 銀座と新橋の境界を銀座側に少し入って行ったあたりにあるその店に入ると、ヴィンテージの記載されたメニューが並んでいた。

 その中から、コロンビア1970を選ぶ。私の生まれるはるか前のコーヒーだ。

 職人さんが、注文のつど、一杯分の豆を挽き、名人芸としか言いようのない本物の技術で丁寧にネルドリップしてくれる。
 脇を絞め、みぞおちあたりにポットを構えて、糸のように細い水流で、ゆっくりと豆を蒸らし、コーヒーを抽出する。一流の技というものは素人がその姿を見ているかででも、なんともいえない美しさが漂うものであるが、この職人さんの一杯一杯のコーヒーを入れる際の真摯なまなざしも、そんな本物のオーラを醸し出していた。

 ついにコーヒーは出来上がり、目の前に供された。
 鼻をくすぐる香りの豊かさからしても、そんじょそこらのコーヒーとは全く違う。長年の熟成によって積み重ねられた歳月の重みをひしと感じるような、深い香りだ。

 ごく少量を、一口含んでみる。
 驚くほど濃厚な味わい。
 ドリップコーヒーなのだが、凡百のエスプレッソなどはだしで逃げ出すかと思えるほど、濃厚な味わいである。

 酸味は強い。酸味の勝ったコーヒーは苦手なのだが、この強い酸味は力強いコクとうまみとのバランスが良く、心地よい苦みもしっかりと感じられる。

 それはあたかもスコッチのシングルモルトのストレートを味わうかのよう。実際、普通のコーヒーをビールとすれば、このオールドコーヒーはウィスキーのストレートと言えるだろう。

 ストレートの蒸留酒のように、一滴一滴をなめるようにゆっくり味わい、余韻を楽しむ。コーヒーでそんな飲み方ができるとは。

 コーヒーの概念が覆るような、面白い体験だった。
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