趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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天才の故郷~迷宮的旅行記第5章(3)

 翌朝、ザンクト・ファイト・アン・デア・グランを離れ、再び電車に乗って今度はザルツブルクへ。

 ザルツブルクといえばモーツァルトの故郷である。
 というわけで、着いてホテルに荷物を置くと早速モーツァルトの生家およびモーツァルトのザルツブルク時代の住居へと向かう。

 とはいえ、朝8時に電車に乗ってついたのは1時過ぎであり、空腹を抱えていたので、まずは大聖堂前の広場に面したカフェで腹ごしらえを。周りにいた人たちがとても美味しそうにオムレツを食べていたので、私もチーズとベーコンのオムレツを注文。チーズが卵の中でとろりと溶けていて、とてもうまい。

 その後ウェイトレスさんがケーキプレートを持ってきて、誘惑に負けてマラコフ・トルテを味わってみる。洋酒の香りがよく、これまたおいしかった。

 いよいよモーツァルトの生家と少年時代の一家の住居へ。

 建物自体はなんということもないごくありきたりの古い住家にすぎないのだが、ここにあの音楽史上最大の天才が生まれたのだと思うと感慨もひとしおである。

 少年時代の一家の住居は日本の保険会社がスポンサーについていて、ちょっとした博物館になっている。とはいえ、もとは民家なので規模も控えめであることに違いはない。

 例によって、オリジナルのCDでもないかとブックショップを物色。すると、アドリブの達人ロバート・レヴィンがマルコム・フラーガーという人と共演した、モーツァルテウム所蔵のオリジナルのフォルテピアノ2台による2台のフォルテピアノのためのソナタK.448の録音を発見。これは掘り出し物だ。

 モーツァルトゆかりの家の後は、ごく普通の観光地を巡った。まずは大司教の城塞ホーエン・ザルツブルクを訪ね、大聖堂に大司教の宮殿、そして今は市役所になっている大司教の離宮、ミラベル宮。モーツァルトの因縁の上司、コロレード大司教の肖像画なども飾られており、なかなかに興味深い。

 たっぷりと歩きまわって心地よい空腹感を覚え、夕食をとりに行く。地球の歩き方に紹介されていた、修道院出資による、修道院の自家製ワインに地元の食材による地元料理のレストランを訪ねる。創業600年という老舗だそうだ。

 メニューにはおいしそうなものが沢山書かれていた。その中から、アスパラガスのスープ、ラム肉のロースト、そしてデザートにザルツブルク名物の巨大スフレ、ザルツブルガー・ノッケルンを注文。ワインはご自慢の自家製ワインの赤をグラスで注文。

 まずはワインが供される。まろやかで優しい味わい。酸味はあまりなく、渋みが勝った感じである。”塩の(ザルツ)城(ブルク)”だけあって、豊かな岩塩鉱の広がる塩分の多いテロワールを反映してか、うっすらと塩気のようなものが感じられ、そのせいかほのかにうまみ成分のようなものも感じる。これはラム肉に合いそうだ。

 アスパラガスのスープは、以前甲府のインド料理店で味わったことがあるのだが、オーストリア料理としてはどんなものか、楽しみだった。
 ひとさじ味わうと、アスパラガスのやさしい風味が口いっぱいに広がり、大変美味である。とろみの付いたポタージュになっていて、アスパラガスのとろみのある食感をイメージしているのだろう。インド料理のアスパラガススープは、クリーム仕立てで、辛くはないがとても香りの華やかな香辛料で香りづけされていたのだが、ザルツブルク料理のそれは、素材の味そのものを上手に引き出した素朴な味わいで、これもまた非常に魅力的であった。

 ラム肉のローストがやってくる。
 私はその皿の中身を見て、大いに興奮した。
 おなじみのラムチョップとすね肉のほか、何とTボーンにレバーまで盛り付けられている!味付けは地元産の岩塩のみ。シンプル・イズ・ベストである。
 それぞれの肉の部位ごとの味の違いがとても楽しい。
 チョップのやわらかでまろやかな味わい、すね肉のパリッとした皮のうまみにしっかりした歯ごたえ、そして豊かなコク。Tボーンの、部位ごとの食感の違いもはっきり分かる。そしてレバーの濃厚な味わい!
 予想通り、ワインは最高の相性で、もう一杯お代わり。素晴らしい一皿だった。

 デザートのザルツブルガー・ノッケルンには度肝を抜かれた。何しろ巨大である。
ノッケルン

 写真を見ていただければわかると思うが、ザルツブルクから見えるアルプスの山並みを表現したスフレだそうで、底面積は両手を広げた広さに匹敵し、高さも手首から中指の先くらいまである。
 巨大といっても所詮はスフレ、食べて食べられないことはないだろうと高をくくっていたが、さすがにこの圧倒的な物量を目の当たりにすると自信がなくなってきた。

 とりあえず、ウェイターさんが1/3ほど皿に取り分けてくれたのを味わう。これがまた、非常に甘みが強く、そこに卵に生クリームの濃厚極まりない、重たいコクがドスンと決まる。ラズベリーソースのさわやかな酸味が重さを中和するものの、思った以上におなかにたまる。
 結局、最初の1/3を何とか平らげたものの、それ以上はとても食べ切れなかった。これを完食するには最低でも3人は必要だろう。
 最後の締めにエスプレッソを一杯飲んで、ホテルに帰る。心地よいワインの酔いと満腹感が相まって、あっという間に眠りに落ちたのだった。(続く)
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