趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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秩序からカオスへ~迷宮的旅行記第5章(8)

 傘を無事手に入れた私は、再びホテルに戻って少々仮眠をとり、またスーツに着替えてムジークフェラインへ。
 運よく、ウィーンフィルの非定期演奏会があって、チケットが取れたのである。

 当日の指揮者はムーティで、演目はシューベルトのロザムンデ序曲、モーツァルトの交響曲「リンツ」、休憩の後ラヴェルのスペイン組曲にファリャの三角帽子、というものである。

 毎年正月の夜にテレビで見慣れたあの絢爛豪華なホールに、ウィーン・フィルのやわらかな音が満ちてゆく。ホールの音響は文句なしに素晴らしい。真偽のほどは確かではないが、ある人から聞いたところではウィーン・フィルは現在も原則としてヴァイオリンの最高音弦にスティール弦は使わないのだという。それゆえ、弦の音色は非常に温かく、やわらかく、美しい。

 ムーティはモーツァルトを、古楽奏法などびた一文取り入れることのない「ザ・ウィーンフィル」という感じの演奏方法で、古楽奏法でもやらないような激しいハイスピードで一気に引きぬけて行った。このようなアクロバティックな演奏でも決して乱れず、ウィーンならではの音色の優美さも全く損なわれることがないのはさすがだ。

 私が一番印象に残っているのは、後半のファリャの三角帽子で、リズミカルな作品の構造を前面に押し出して、非常に力強く生き生きと演奏されていた。うーむ、それにしてもうまい。さすが天下のウィーンフィル。

 この演奏が聴けるなら、まあ毎年恒例の来日公演に目玉の飛び出るようなチケット代を支払っても、飛行機代を考えれば安いのかもしれないなぁ、と妙な納得をしてムジークフェラインを後にしたのだった。

 演奏は比較的早い時間に終了した。小腹がすいていたので、まだ空いていたレストランに入り、ターフェルシュピッツを注文。ちょうどイタリア料理のぼっリート・ミスト(ゆで肉盛り合わせ)のような料理で、牛のフィレ肉を牛骨スープでやわらかくゆでた料理で、私好みの料理法だ。

 案の定、食べてみると本当にボッリート・ミストの味である。当たり(笑)!

 翌朝はいよいよウィーンを立つ。
 朝早い飛行機なので、朝食はパスし、空港に直行。
 搭乗手続きを済ませ、待ち時間に空腹を覚え、ふと見ると、ウィーン式の本格的なカフェが、クロワッサンにカフェ・メランジェの朝食セットを出している。そういえば、本場のクロワッサンをまだ食べていなかったのを思い出し、早速注文。

 日本ではなぜかクロワッサンはフランスのもののように思われているが、実はれっきとしたウィーン生まれの菓子パンで、その証拠にフランスでは「ヴィエノワーズ(ウィーン風の)」と呼ばれている。
 これは、トルコの国旗の三日月をかたどったもので、トルコ軍のウィーン包囲に耐え抜いて、撤退するトルコ軍を見ながら、トルコの象徴をパンに焼いて食ってしまえ、と言ってこの町のパン職人が作ったものなのである。

 本場のクロワッサンは非常にさっくりとした歯触りで、バターの香りも豊か。大きさも大きい。正直なところでは、家のすぐ近くに絶品のクロワッサンを食べさせてくれるケーキ屋さん直営のカフェがあって、毎週のように絶品のクロワッサンを味わっているせいか、本場だからと言って飛びぬけてうまいとも感じなかった。しかし、それがおいしいクロワッサンであることには違いはなかった。

 搭乗開始時刻になり、いよいよオーストリアを出国である。
 ローマでパレルモ行きに乗り換え、いよいよシチリアへ。
 ゲルマン的秩序にあふれたこの山国から、ついにカオスの南イタリアへと移動である。(続く)
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  • 2007/09/29(土) 18:31:02 |
  • クラッシックの世界
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