趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・カオス実感~迷宮的旅行記第5章(12)

 さて、シチリア式カオスをたっぷりと味わったのちに(苦笑)、考古学博物館にたどり着く。

 ここは市内で出土した各種考古物を展示している博物館なのだが、それはBC13世紀のミュケナイ(ミケーネ)文明時代にさかのぼる数々の出土品に始まり、ローマ時代まで時代順に展示されていた。

 BC13世紀と言うことは、今から3300年も前の世界である。そんな時代に作られたものの実物が、今目の前に存在している、と言うのは、なんとも言えない凄みを実感させてくれる。想像を絶するはるかな古代と、この目の前の物体を介して直接触れ合う感覚―これは、やはり実物を目にしなければ味わうことができないものだ。

 さすがギリシア植民都市だっただけあって、壺も充実している。ウィーン美術史美術館でギリシアの壺絵に開眼したばかりであったので、非常にうれしかった。

 ほかにも、これまた私の好きなアルカイック様式のアルテミス女神の陶器像~これは専門の石型でプレスして大量生産された、我が国でいう神棚のような家庭内の神域に祭るためのものだったらしい~が多数展示されていて、アルカイック・スマイルの女神に取り囲まれるのも楽しかった。さらには、シチリアの州旗の紋章になっているトリナクアの紋章(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%AA%E3%82%A2#.E6.AD.B4.E5.8F.B2参照)の、最古のものも展示されていた。

 ブックショップには、展示しているギリシア陶器のレプリカも売られていた。これは欲しい!このクラテルで南イタリアのパンチの利いた赤ワインを、古代のやり方そのままにイタリアの硬水で水割りにして、このレキュトスで飲んだらどんなにかおいしいことだろう。しかし……宅配サービスはやっていないという。スーツケースにこんな壊れ物を詰め込んで、割らずに持って帰る自信は私にはない。仕方がない、諦めよう。

 博物館をじっくり見て回ったところ、ちょうど正午であった。博物館の脇に簡単な食堂があり、ちょっと覗いてみたところ、ショーケースにはおいしそうな料理が何種類も並んでいた。よし、今日の昼食はここでとろう、と決めて、シチリア名物カポナータに、アランチーニを注文。

 カポナータと言うのはなすとトマト、セロリなどを煮込み、冷蔵庫でキンキンに冷やして食する野菜料理で、オリーヴィオイルと白ワインヴィネガーで香りづけされている。シチリアの強烈な暑さに、トマトの酸味、白ワインヴィネガーの香りが非常に心地よい。味付けも、酸味と塩味のバランスが大変良く、ナスのうまみ、甘みがそれに寄り添い、大変おいしい。

 アランチーニと言うのは、生ハムやモッツァレッラチーズをサフランたっぷりのリゾットで包み、オリーヴオイルでからっと揚げた料理である。

 これはシチリアの軽食の定番だそうで、実際、ちょっと焼きおにぎりをほうふつとさせる、外側のカリカリのコメの食感が非常に心地よい。内側の部分は、アル・デンテのリゾットの心地よい歯ごたえ、モッツァレッラのとろける食感が加わり、大変おいしかった。

 ここは白ワインでも飲みたいところだが、この後炎天下を歩き続けることを考えて、自粛した。代わりに、地元の炭酸入りミネラルウォーターを注文。

 シチリアのミネラルウォーターは、イタリアのほかの地方に比べるとだいぶ硬度が低いようだ。しかし、人間の文化創造能力は素晴らしいもので、このやや硬度の低い水は、カポナータにもアランチーニにも相性が良く、ワインなしでも美味しく味わうことができたのだった。やはり地元の水を飲んできた人々が作り上げた料理、と言うことなのだろう。

 最後にエスプレッソを飲んで、博物館を後にし、神殿へと向かう。(続く)
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