趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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残された謎~迷宮的旅行記第5章(17)

 いよいよ旅行も最終日となった。
 ディジョンを発ってパリに行き、ガール・ド・リヨン駅でスーツケースをロッカーに入れてぶらぶらとパリを散歩することにする。

 パリのめぼしい観光スポットは、初めて言った時におおむねカヴァーしていたので、今回は特に計画を定めず、気の向くままガイドブックを拾い読みして興味を引いたところに行こうと考えていた。

 ところが、ディジョンからTGVでパリに着くと、ロッカーが故障中。この重い、巨大な、そしてモン・サン・ミッシェルからの帰り道に車輪の一つ壊れてしまった取り回しの面倒なスーツケースを抱えたままパリ観光などできるわけがない。

 さて、どうするかと思案した結果、もう一つのターミナル駅であるモンパルナス駅に行ってみようという結論に達した。

 地下鉄を乗り継いで、モンパルナスにたどり着くと…狙い通り、ロッカーは無事見つかった。

 ようやく身軽になったので、前回旅行時は治安の悪さについて散々脅かされたために行かなかったモンマルトルに行ってみようと思い立った。

 再び地下鉄を乗り継いで、サクレ・クレール大聖堂の最寄駅に着く。

 駅を出て、急な坂道の参道を登っていくと、怪しい物売りがうじゃうじゃとたむろし、観光客に絡んでいる。私は極力目を合わせないように足早に通り過ぎたのだが、しつこい物売りが一瞬私の腕をつかんだ。肝を冷やしたが、”Non!"と叫んでふりほどき、早足で逃げていくと、それ以上は追いかけてこなかった。やれやれ。やはりモンマルトルは治安が悪い。

 丘の上に着くと、もはや物売りの姿はなく、堂々とした大聖堂がそびえていた。19~20世紀の建築なため、威厳に少々かけるところはあるものの、絢爛豪華さの点では大したもので、なるほどこれはパリの象徴の一つにふさわしい、と感じた。

 丘の上からの見晴らしも良く、パリ市内が一望できる。これでコワモテの物売りさえいなければ、良いところなのだが。

 帰り道は物売りの背面から通り過ぎるので、行きとは異なり、しつこく付きまとわれることもない。こんなところはさっさとおさらばするに限る。

 大通りに出ると、とりあえず昼食をとろうと、アパルトマンが軒を連ねる住宅街を通り抜け、オペラ・ガルニエに出る。

 お目当ては、カフェ・ド・ラ・ぺのパリジャンサンドだ。
 忘れもしない2003年の9月、初めてパリを訪ね、初めての昼食をとったのがこの店だった。その時に食べたのがパリジャン3度だったのだが、そこに挟まれていた不思議な野菜に強い印象を覚えた。

 見た目はクレソンのような、葉を取って茎だけ残した春菊のような、緑色の茎野菜で、一口かじると野菜と言うよりも果物のようにじゅわっと汁気が豊かに溢れ出す。その風味は、柑橘系のさわやかな酸味と香りがして、本当に不思議な野菜であった。

 今回は、再びこの野菜を食べ、写真に収め、正体を突き止めようと意気込んできたわけである。

 しかし、運ばれてきたサンドイッチは、グリュイエルチーズのスライスとハムのスライスだけのシンプルなもの。パリジャンサンドと言うのは本来このようなものであり、野菜が入っているのは異例だということは知っていたが、前回は入っていただけにこの店のパリジャンサンドにはあの野菜が入っているものと思っていたので肩すかしをくらってしまった。

 バゲットはパリパリでフランスパンらしい歯ごたえと皮のうまみをたっぷり味わえ、ハムもチーズもとても美味しく、文句なしの100点満点のパリジャンサンドで、大変楽しめたのは確かだが、それでもやはりあの野菜の謎を解明できなかったのがなんとも残念であった。

 それにしても、あの謎の野菜はいったい何だったのだろうか。気になる。

 嘆いていても仕方がないので、ガイドブックをぱらぱらめくり、目に留まった、ギュスターヴ・モロー美術館に行ってみる。

 「サロメ」などの幻想的で緻密な画風が魅力的なあのモローの作品を集めた美術館と言うので期待して見に行ったのだが、収蔵されていたのは大部分がスケッチや習作で、ちょっと期待外れであった。

 その後は、ひたすら町中をぶらぶら散歩して過ごした。

 オペラ大通りを南下してセーヌ河畔に着き、ルーヴルを迂回してアカデミア橋を渡り、サン・ジェルマン大通りを左折してひたすらまっすぐ歩いてゆく。途中で再び左折して、ポン・ヌフのたもとを左折、セーヌ沿いの露天古本商を物色して、また左折、カルチェ・ラタンの古本屋街をウィンドウショッピング。ラテン文学者の古書でもないかと思って見ていたが、私に手の届く価格のものは見受けられなかった(苦笑)。

 歩き疲れたので、途中のサラ・ダ・テに入り、タルト・タタンを注文。エッセンシャルオイルを垂らした紅茶とともに味わう。
 タルト・タタンはカラメル質のねっとりとした蜜がさっくりした表面に絡み、ふんわりした内部の食感と絡んで大変おいしかった。もちろん、主役の焼きりんごの舌触りも絶品。

 だいぶ休まったので、再びセーヌ河畔に出て川沿いをそぞろ歩き、途中で左折してサン・ジェルマン大通りを北方向と逆にまっすぐ歩く。アカデミア橋に戻ったところを左折し、ひたすらまっすぐ歩いて、モンパルナス駅へ。

 モンパルナス駅で荷物をピックアップして、空港行きのリムジンバスへ乗り込んだ。

 パリの街並みの美しさを堪能するには、やはり足で歩くのが一番だ。最初に来たときは観光スポットめぐりに没頭していたため、街並みにまでは目が行かなかったのだが、今回は余裕を持ってのんびりと~約4時間以上も~歩きまわったおかげで、パリの街並みをたっぷりと堪能することができた。

 強行軍好きの私のことだから、次の旅行も成田発の夜行便でパリ経由になることだろう。そうしたら、また1日くらいはパリに寄り道していきたい、と思う。今度こそあの野菜の謎を解明するためにも(笑)。

 空港に着くと、もうほとんどの店舗は営業を終えていた。チェックインを済ませ、搭乗を待つ間、財布の中に残ったユーロ現金でシャンパンのハーフボトルとコンテチーズを買い、旅行のしめくくりである。

 ようやく搭乗となり、翌日夕方に成田に帰着。
 長い充実した旅行だった。少々欲張りすぎの感もあり、正直かなり疲れたが、やはりこんなに長く休む機会もそうそうあるものではないので、欲張れる時には欲張っておくのが良いだろう。(完)
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コメント

連載お疲れ様でした。

通して拝読して、「風土と料理」ということに思いを馳せるにいたりました。
各地の食材が手に入る東京に住んでいることが幸福なのか否か…

ともあれ、Tiberiusさんは、ほんとに羊がお好きよね♪

  • 2007/08/06(月) 21:38:33 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

確かに

東京の、世界じゅうの味が集まる環境にいると、地元ならではの味に触れなくなるという副作用がありますよね。
特にイタリア料理は、地元の風土と密接不可分なものだったりもしますから、やはり現地に行って味わうという経験は貴重だと思います。

私の好きな羊も、ヨーロッパで食べると日本とは比べ物にならないくらい風味豊かですしね♪

  • 2007/08/07(火) 00:30:40 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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お家でパリの三ツ星レストラン フランスパ

当店で直接フランスから輸入している本場のフランスパン。小麦が日本の物とは違い、パン本来の香ばしい香りと、とても薄皮のクリスピーな歯ごたえが楽しめます。 発売以来当店で96週連続楽天ランキング登場の人気商品。一度召し上がればその違いが三ツ星なのが納得!!

  • 2007/08/16(木) 18:56:34 |
  • フランスパンが最高によかった
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