趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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執念の勝利

 13年間探し続けたCDを、今日ついに手に入れた。

 ことの起こりは、1994年の秋にさかのぼる。

 ちょうどジャズをかじり始めた時期だったのだが、そこにタイミング良く、NHKのBSで「タモリのジャズスタジオ」という4夜連続の特集番組が放送された。

 これは、アメリカで放送されたJAZZ625というシリーズ番組のライヴ映像が商品化されたきっかけで、この映像を中心に使用しながら芸能界有数のジャズ通で知られるタモリと林家こぶ平(当時)の司会の下、50年代から60年代にかけてのジャズの黄金期を概観するという豪華な番組であった。

 私の家は当時BSが入らなかったので、友人に頼んで六がしてもらい、それを見たのだが、次々と流されるジャズ黄金時代の巨人たちの演奏シーンに、私は胸をときめかせて見入ったものだった。

 その中でも特に気に入った演奏が、MJQがギタリストのローリンド・アルメイダをゲストに迎えて演奏する、Fuga in A minorという作品であった。
 これは、リーダーのジョン・ルイスのバロック趣味を反映して、バッハ作曲のチェンバロ独奏のためのイ短調フーガBWV947をほぼ原曲そのままジャズの編成にアレンジしたというものであった。思えばこのあたりに、のちにディープな古楽マニアとなる私の気質が表れていたのかもしれない。

 この演奏をいたく気に入った私は、CDを探した。
 しかし、田舎在住の中学一年生の私の行動半径でアクセシブルだったCD店には、全く見当たらない。

 やがて行動半径の拡大とともに、翌年の春、カタログ検索できる情報端末のあるCD店を発見する。早速検索してみると、どうやら「コラボレーション」というアルバムに収録されているようだということが分かった。

 早速、その店に注文を出したのだが、返事は、廃盤で入手不能、というものであった。

 しかし、ここであきらめる私ではない。
 当時の私にアクセシブルな限りにおいて、中古が出ていないか、再発売にならないか、常に探し続けた。

 そして1997年、高校一年の夏。
 雑誌に広告を出していた通販OKの中古店に、片っ端から電話をかけて在庫の有無を問い合わせていると、ついに「アナログ盤ならあります」との回答を入手。

 少々プレミアの付いた高価なディスクであったが、何とか当時の持ち合わせでぎりぎり買える値段だったので、なけなしの金をはたいて購入である。

 今の片隅で埃をかぶって眠っていたLPプレイヤーを自室にもちこみ、アンプにつないで再生してみる。
 無事、音は出た。
 足かけ4年探し続けたアルバムを、初めてフルに聴くことのできる喜びは大きく、またその演奏の質の高さも大変満足のいくものであった。

 しかし、アナログ盤は何度も聴くと擦り減って音が悪くなる、という話を聞いた私は(真偽は定かではないが、すでにCDから音楽鑑賞の世界に入った世代に属する私には、十分恐ろしい話だった)、恐ろしくて、聞きたくてもなかなか聞く勇気が出ず、MDに落としたものをもっぱら聴いていた。

 しかし、MDにおとしたものはどうも今一つ音がやせているように感じられ、やはり気軽に聴くことができるCDで欲しい、という思いがいや増していったのであった。

 さらに探し続けて6年後、2003年の春。最初に探し始めた1994年からみれば9年目のことである。
 渋谷のレコファンで、MJQの4枚組のベスト盤に、Fuga in A minor が収録されているのを発見した。すかさず買いである。

 悪名高い某社の「タイマー」の通りに、3年で壊れてしまったMDを聴くことができなくなって以来、久しぶりに演奏を聴いて、改めてその趣味の良さ、ジャズらしさを十分に残しつつ、クラシカルな響きを作り出すMJQの手腕にしびれたものである。

 しかし、あのアルバムに入っていた曲は、Fuga in A minor以外にも名曲ぞろいで、是非とも全曲CDで手に入れたかった。ゆえに、その後も継続して探し続ける。

 そして今日、2007年9月17日。
 ようやくアメリカでこのアルバムがCDで再発売されたらしく、それが日本に入ってきたのを発見することができた。


 足かけ13年である。
 今年26歳の私にとって、人生の半分を費やして探し続けてきた計算になる。

 感慨無量だ。
 コレクション趣味をお持ちの方ならば、きっとわかって下さるだろう。

 執念の勝利である。
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コメント

おめでとうございます

HMVレビューを読むと何故いままで再発されなかったのか不思議でなりません。
JAZZ市場の地盤沈下は止まるところを知らないようで...
マニアって大変ですねホントに(笑)

これって『Gambit』が出してるんですね。
Bill Evansの珍しいライヴ盤を発掘している会社(いわゆる「海賊屋」)のイメージがあったので、まさかMJQのオリジナルアルバム(しかもボーナストラックつき)を出すとは意外です。
JAZZの市場の地盤沈下で、もはや正規と海賊の区別すら無くなってしまったのでしょうか。
まあマニアには関係ないか。
とにかく出れば良いのだから(笑

  • 2007/09/18(火) 10:09:14 |
  • URL |
  • Miles的・・・ #-
  • [ 編集]

やっと手にして音を聴いた感動は何ものにも代え難いものですね。よ~く解ります。

  • 2007/09/18(火) 16:18:39 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>Miles的…さん

 そうそう。マニアは大変なんですよ(笑)
 でもMiles的・・・さんも立派なマイルスマニアのような気も。
 お互い苦労が多いですなぁ。
 でも、それゆえの喜びが代えがたいんですよね。

>gramophonさん

 gramophonさんならきっとわかって下さると思ってました。
 私の集めているものはまだ手に入れやすい方だ島は思いますが、やはり探し求めた一枚を聴いた時の喜びはえもいわれぬものがありますよね。

  • 2007/09/19(水) 00:58:52 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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