趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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名前の由来

 いつもお世話になっているなつさんのブログで私のハンドルネームの由来の話題が出、長くなるのでということでここに書かせていただくことにした。

 私のハンドルネームのTiberius Felixというのは、ローマ帝国の第二代皇帝ティベリウス帝の名前に、ラテン語で「幸福な」「実り豊かな」という意味を示すFelixという言葉をつけたものである。

 ティベリウス帝は塩野七生の「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」にその生涯が詳しく書かれていて、どんなに評判を落とそうとも自分のなすべき政策を貫き、先代アウグストゥス帝の拡大政策を一転、徹底的な守りの戦略でローマ帝国の国境防衛線をほぼ画定し、帝国安定の基盤を確立した皇帝である。
 人間嫌いの一面があり、晩年はカプリ島に引きこもって帝国の統治を行っていたり、また若い頃アウグストゥス帝と折り合いが悪く、公職を辞してロドス島に引きこもってしまったりといったことが知られている。

 私は中3のときにローマ人の物語のシリーズを、読み始め、この巻が出たときは確か高2の冬頃だったと思うが、今まで読んできた中に登場したさまざまな人物像―その中にはもちろんローマ最大の英雄カエサルも、ハンニバルを破った大スキピオも、その他山川世界史用語集で赤字の太字扱いの有名人たちがもちろん含まれている―の中でも群を抜いてこの皇帝に強い共感と親近感を覚えた。もともと私はティベリウス帝のような、周囲の評判を意に介さずに我が道を行く生き方を望んでおり、また隠棲願望も強いのに加え、アウグストゥス帝の命令で引き離された愛妻ウィプサニアへの未練を断ち切れないその姿にも、自分と同じ匂いを嗅ぎ取ったのであろう。

 そんなわけでティベリウス帝というのが私の中で非常に大きな人物像となっていたのだが、大学に入り横浜に住むようになり、プロバイダを契約してメールアドレスを決めるとき、ふとおもいついてtiberiusとつけたのをきっかけに、ネットでのハンドルネームをtiberiusと名乗るようになったのである。

 そして後半のfelixであるが、これはティベリウス帝とは直接関係がない。ティベリウス帝の正式な称号は、
TIBERIVS CAESAR DIVI AVGVSTI FILIVS AVGVSTVS POMTIFIX MAXIMVS TRIBVNICIAE POTESTATIS XXXVII IMPERATOR VIII, CONSVL V
(ティベリウスカエサル、神なる尊厳者の息子たる尊厳者、最高神祇官、護民官特権37年、凱旋将軍8回、執政官5期)
 という長いものであるが、ここにfelixという言葉はない。

 じつはこのfelixというのは、内乱記のローマの独裁官ルキウス・コルネリウス・スラに由来している。彼の人物像はやはりローマ人の物語の第三巻「勝者の混迷」に詳しく書かれているのだが、戦場で指揮を取れば連戦連勝、内政においても多くの味方を得て反対派の大粛清をやってのけ、ローマを一手に統治するに至った人物で、己の幸運を固く信じて疑わず、自らfelixというあだ名を名乗っていかなる絶望的状況に陥っても決して揺るがぬ希望を堅持し続け実際に逆転勝利を必ず収めたという男である。
 およそ私の人物像とは正反対の人物で、ティベリウス帝とはまったく異なり何らの親近感も感じられないのだが、ちょうど会計士の2次試験論文式を受け終えて発表待ちの時期に文庫として再発売されたローマ人シリーズを読み直していたところ、彼の自分の幸運を信じて疑わないという強固な姿勢は、試験の結果待ちという不安な状況にあって元来悲観的で弱気な私に自分にないものへの憧れを強く掻き立てさせること著しく、強い印象を感じたものである。そこで私は、もし二次試験に受かっていたら自分もfelixと名乗ろう、と考えており、果たして無事合格していたので、その発表の日からハンドルネームにfelixと付け加えたのである。

 だが今にして思えば、ティベリウス帝の己の信念を貫く孤高の姿勢は、スラに負けず劣らずきわめてfelixといえるだろう―「幸運である」という意味においても、「実り多い」という意味においても。彼のように己の信念、己のスタイルを貫き通すことができるのは間違いなく幸運であるし、またそのような姿勢こそ、ローマ帝国安定の基盤を築くという重要な政策を実現させたのであり、また彼個人の私的な幸福をもたらしたのであるから、間違いなく実り多いものである。

 依然として生来の悲観主義からは逃れられない私ではあるのだが、せめて名前だけでもスラのように己をfelixと信じ、ティベリウス帝のように己を貫いて生きて行きたいものである。
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コメント

どうもありがとうございました!
すっきりいたしました(笑)

おお、Felixスラでしたか。三巻となると、だいぶ前で、すっかり忘れてしまっています。
読み返してみましょう。

  • 2005/09/14(水) 01:00:09 |
  • URL |
  • なつ #JVwkRIxU
  • [ 編集]

↑途中で送信してしまいました。
felixに「実り豊かな」という意味があると教えて頂いたのは、私にとってそれこそ実りあることです。
全然関係ないことなんですが、モーツァルトに"Ombra felice" -「幸福な影」あるいは「実り多き影」でしょうか-というコンサート・アリアがあり、私は曲自体の美しさとともに、題名もとても気に入っています。

  • 2005/09/14(水) 01:06:19 |
  • URL |
  • なつ #3ItBdoaY
  • [ 編集]

Ombra felice

手持ちのCDを探したところ、見つかりましたので、早速聴いてみました。
モーツァルトらしい心地よいメロディにあふれた、素敵な作品ですね。
ラテン語の辞書でfelixを引くと、fartileという言葉が一番最初に出てきます。実り豊かであるという意味が最初にあって、どうやらそこから幸せな、という意味が派生したようですね。

  • 2005/09/15(木) 21:53:04 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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