趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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Requiem aeternam……

 ついに今日、あのチーズ店は店を閉めた。

 私は閉店間際に最後の買い物をし、今夜はワインとチーズをたっぷりと味わうことにした。
 香りの強いチーズはすでに売り切れていたこともあって今回買ったのは、カマンベールとモツァレラ・ブッファラである。

 カマンベールは日曜に我が家にワインを飲みにくる予定の友人のためにとっておくことにして、今日はモッツァレラ・ブッファラと、先日かって冷蔵庫の中で熟成させておいたウォッシュタイプのマンステールAOCである。ワインはブルゴーニュの赤を合わせた。
 モツァレラ・ブッファラは水牛乳で作ったナポリ周辺のカンパーニャ州の特産チーズである。おなじみのモツァレラチーズの一種だが、日本で普及している牛乳製のものよりも酸味と甘みが際立っており、舌触りのきめの細かさも格が違う。もともとモツァレラは水牛乳で作るのが本来の姿で、牛乳で作ったのは、水牛乳が手に入りづらいことから作られ始めた代用品なのである。
 このモツァレラブッファラというチーズはとにかく鮮度が命で、ナポリで作ったものをローマに運んでいるうちに風味が失われていくとさえ言われているとか。当然ながら日本に空輸されて店頭に並ぶまでに相当量の風味が失われているものである。実際、以前ナポリを訪れたときに朝食に食べたモツァレラの味はそれはそれは鮮烈で、最初に一口をかみ締めたときの感動は今なおありありとよみがえってくるほどであるのだが、しかし日本に運ばれて風味が落ちたはずのものでさえ、一口かめばたちまち豊かな甘みとほのかな酸味が心をナポリの青空へと飛ばしてくれる。
 さわやかなモツァレラの後には強烈な香りのマンステールを味わった。マンステールはフランスとドイツの国境地帯のアルザス地方(世界史マニアにはおなじみの地名ですね)の特産品で、何百年も受け継がれた伝統に忠実な製法で作られた逸品である。ウォッシュタイプらしい強烈な香りが、ワインのアルコール以上に有無を言わさぬ陶酔感を運んで来てくれる。
 その一方で、お味のほうはというとこの強烈な香りとは裏腹に穏やかでまろやかで、カマンベールのようなクリーミーな食感がなんとも心地よい。
 ワインはブルゴーニュらしい軽さを持った味わいで、やや酸味が強い嫌いがあるが、その酸味がかえって水牛乳のモツァレラの酸味と相性が良く、またマンステールの濃厚な香りをがっちりと受け止めつつそのやさしい味わいにふわりと寄り添う感じになり、なかなかのマリアージュとなってくれた。
 
 明日から私は、ナチュラルチーズを買うためには8時までに横浜に帰ってそごうに行き、やや割高な値段で買わねばならない。悲しいかな、チーズを味わう頻度も減ってしまいそうである。

 だが、一筋の希望が残っている。
 それは、私が店を訪れた頃には、すでに香りの強いウォッシュタイプやブルーチーズが、カマンベールやモツァレラといった、日本人にも親しみやすい節度ある香りのチーズよりも先に売り切れていたことである。横浜には、チーズの香りを愛する人たちが、私以外にも一定数住んでいるのだ。

 店員さんは、なるべく近いうちにまた横浜に支店を出したい、といっていた。一日も早い復活を心から祈る。
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コメント

チーズ屋

最近行ってないので、品揃えがどうなのかわかりませんが、銀座8丁目に「アロマッシモ」というチーズ屋が在り、結構重宝してました。

ありがとうございます。

こんばんは。
チーズ屋さんのご紹介ありがとうございます。
銀座なら、仕事帰りに寄りやすい場所です。
今度行ってみますね。

  • 2005/09/17(土) 19:56:35 |
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  • Tiberius Felix #-
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