趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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「オルフェオ」鑑賞

 神奈川県立音楽堂で「オルフェオ」を鑑賞してきた。

 オルフェオは、現存する二番目に古いオペラ作品で、ギリシア神話のオルフェウスの冥府下りの物語に基づいた作品である。

 現存する最古のオペラもオルフェオ物語による「エウリディーチェ」と言う作品なのだが、これはどちらかと言うと、セリフをレチタティーヴォで歌ってちょっと伴奏も付けてみました、といった程度の作品で、音楽と言葉の融合による劇的表現の深化と言う点ではまだまだプロトタイプとの感を否めない作品である。

 しかし、この「オルフェオ」は、音楽と言葉の融合が非常にうまく進められ、劇的な情感(「アッフェクト」)の表現の深化の点で、オペラ最初の古典とするにふさわしい完成度の高い作品になっている。

 私もこの作品は、CDやDVDで何種類かの演奏に親しんできたのだが、生の舞台上演を鑑賞する機会はこれが初めてであった。

 これが大変に素晴らしい舞台だった。

 冒頭のファンファーレからして、古楽器の生のハーモニーをたっぷりと味わうことができる。あのファンファーレ一つで、観客を見事にオペラの世界にいざなってしまうのだから、モンテヴェルディは偉大な作曲家だ。

 ファンファーレの後、擬人化された「音楽」が口上を歌い、観客を物語の世界へといざなうのであるが、のっけから声の抑揚の付け方、表情付けの見事さが行き届いていて、非常に表現力豊かな歌いぶりであった。

 歌手は全員日本人なのだが、イタリア語の歌詞の隅々まで理解しているに違いない歌いぶりで、「時々知っている単語が聞き取れる」と言う程度の私のイタリア語力でも、歌で表現されるそのアッフェクトがありありと伝わってきて、非常に充実した歌を聴くことができた。ホールの大きさの問題で、時折声量不足を感じるところも無いではなかったのだが、それでもこの作品においては声量などよりもずっと優先されるべき、繊細緻密な歌声のコントロールによる言語的表現は充実していて、申し分ない。

 たくさんの管楽器やリーガルなどの特殊効果用の楽器の本物の音色を体験できたこともうれしい。

 そして、オペラは視覚を伴うことが重要な要素であるのだが、おそらくは予算の都合上ゆえの非常にシンプルな舞台装置ながら、衣裳は正統的なルネサンス末期の服装に基づき、オーソドックスな視覚表現を堪能できたのが良かった。

 オーケストラも、大変手の行き届いたもので、時折情熱のあまり音量過剰と感じられなくもないところはあったものの、歌に寄り添い、歌をより深く彩るこれまた正統的な伴奏であった。

 久しぶりに生の古楽オペラを堪能できて(一昨年のフェラーラ以来だ!)、非常に充実した一日であった。
 
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