趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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折り目正しいお嬢様はブチ切れアーティストがお好き?

 先日、小倉貴久子氏を中心とするメンバーによる、同時代楽器でのシューマン夫妻の室内楽作品を聴くコンサートに行ってきた。

 1830年代のグラーフのフォルテピアノで、まずは小倉氏のソロをじっくり聴かせてもらう。
 演目は、旦那の「謝肉祭」。

 当時の楽器ならではの表情の豊かさを生かし、こまやかなニュアンスと大胆な誇張を織り交ぜながら、この長い作品を一気に聴かせてくれた。
 幸いにして私は最前列の中央の席を確保していたので、フォルテピアノから立ち上るこまやかなニュアンスのすべてを聴きとることができた。フォルテピアノの緻密な表現をすべて味わいつくすには、楽器に一センチでも近いところで聴くのが一番である。

 ついで、弦楽四重奏にコントラバスを加えた弦楽アンサンブルが加わって、室内楽編成によるクララ・シューマンのフォルテピアノ協奏曲を聴く。もちろん、弦はガットだ。

 この作品は結婚前に書かれたもので、当時付き合っていたロベルトにオーケストレーションをしてもらったのだとか。だから、プログラムには旧姓で「クララ・ヴェーグ(シューマン)」と書かれていた。なんだか荒井由実名義の作品のような雰囲気を漂わせているのが面白い。

 で、これがまた、いかにも学級委員タイプとでもいおうか、非常に折り目正しいきちんとしたお上品なお嬢様の書いたもの、と言う感じがひしひしと伝わってくるのである。時々「ワル」へのあこがれのようなものを感じさせるところもあるのだが、どうにもワルにはなりきれない、と言う感じで、だからこそちょっとブチ切れ気味のアーティスト気質なロベルトがお気に召したのかもしれない。

 休憩をはさんで、今度はロベルトのピアノ五重奏を聴く。
 CDで聴いて、なかなか充実した聴きごたえのある作品だ、と感じていたのだが、今回の実演は丁々発止楽器同士が激論を交わす熱気あふれる演奏で、改めてロベルトの両極端でアンヴィヴァレントな、そして少々ブチ切れ気味の芸術性を実感させられた。

 なるほど、折り目正しいお嬢様はブチ切れアーティストがお好きだったらしい。

 ……似たような常識人のブラームスではだめなわけだ(苦笑)。
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