趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・海亀のスープ~めくるめくコース

 コースの全体像について語ろう。

 まずはヴーヴクリコの98年ヴィンテージで乾杯。
ヴィンテージものはこれまた初めてだったのだが、香りの深み、味の鋭さ、飲み口のさわやかさ、すべてが一段上だ。なるほど本に書いてある通り、素晴らしいものであった。

 続いてアミューズに、アスパラガスのムースのガスパッチョがけ、つぶ貝のバジルソースが供される。ホワイトアスパラガスのムースは、甘み豊かでガスパッチョの酸味と滑らかな舌触りの相性が大変に良い。つぶ貝も心地よい歯触りとバジルの香りが素晴らしい。これらがまた、ヴーヴクリコに最高に相性が良かったのである。

 続いて、食事用にはソムリエ氏のお勧めに従い、モンラッシュのバター香と樽香の豊かな、どっしりとしたコクのある白を。われわれはメインにリー・ド・ヴォーを選んでいたため、それに合わせてのお勧めであった。
 これが、本当にどっしりとした味わいで、どちらかと言うと軽やかなものしか経験のなかった私の白ワインのイメージが大きく広がった。

 メニューは、プリフィクスコースに海亀のスープをアラカルトで追加注文するという組み立てにした。

 まずはオードヴルに、ホワイトアスパラガスのグリル。オーヴンで軽く焦げ目がつくくらいに焼きあげ、卵ベースのオランデーズソースに半熟玉子を添えていただく。このソースはアスパラガスのもっとも正統的な味わい方だと本で読んでいたのだが、少々自作するには手に余るものであったため、これまた一度プロの味を楽しんでみたいと思っていた一皿だ。

 アスパラガスはグリルならではの香ばしさに、旬の野菜の豊かな甘み、ジューシーでとろりとした味わいが絶妙のバランスで、そこにソースのまろやかな味わいが乗る。なるほど、古典と呼ばれるにふさわしい、非常に均整のとれた美しい味わいである。モンラッシュのコクにも非常によく合う。

 魚料理は太刀魚のソテーにエビ入りのムースをはさんだもの。
 太刀魚の小骨は奇麗に取り去られ、繊細な肉の味わいがほろほろとしたの上に広がってゆく。
 これまたワインとの相性もぴったりで、素晴らしい味わいだ。

 肉料理は、リー・ド・ヴォーのフライにあみがさ茸のソテー、あみがさ茸とパルミジャーノレジャーのチーズのムースグラタンである。
 リー・ド・ヴォーの火の通し加減が、本当に芸術的で、硬すぎず生過ぎず、素材のうまみがまさに100%引き出されたもので、大変素晴らしかった。ソムリエ氏のお勧めだけあって、モンラッシュとの相性は極上、まるでパレストリーナのミサ曲の如く豊かなハーモニーが口中に広がっていく。
 あみがさ茸も兼ねて一度食べてみたいと思っていた食材だったのだが、一種独特の不思議な甘い香りがなんとも官能的で、やわらかく滑らかな舌触りもこれまた官能的。素材そのもののソテーはあたかも一瞬の白昼夢のごときはかないニュアンスとともに口腔を撫でてゆき、パルミジャーノと合わせられたムースはこれまた魅惑的なパルミジャーノの香りと相まって一層幻想的な官能を与えてくれる。

 一番リーズナブルなコースながら、きちんとデザートの前にチーズが出てくるのが素晴らしい。
 私はシェーヴルの青カビと、ひまわりの蜂蜜をかけたフロマージュブランを選択。

 シェーヴルはいつもながら私の愛してやまぬどこか冷たい山羊の香りがパワフルに広がり、心地よいことこの上ない。ひまわりの蜂蜜も、夏の太陽のエネルギーを凝縮したかのようなコクのある味わいで、魅力的だった。

 デザートは、タルトタタンとイチゴを中心としたフルーツのタルトをチョイス。
 そして、そのあとにコーヒーとともに一口サイズのお茶菓子が供される。
 お茶菓子にはラム酒を使ったチョコレートクリームのスポンジケーキづつみ、クレームブリュレ、一口カヌレを選んだ。

 タルトタタンはリンゴの酸味がさわやかに引き出されていて、フルーツタルトも春らしい果物の風味が豊か。ラム酒のチョコレートの舌触りも滑らかで心地よく、一口カヌレのカリッとした歯触りとねっとりしたクリームの舌触りが素晴らしい。しかし、何よりも素晴らしかったのは一口クレームブリュレで、その香ばしさ、コクの豊かさ、何もかもが一段上の味わいなのである。

 ふつうの飲み代の6回分近くを一晩で散財してしまったが、その満足度は普通の飲み10回を優に超えるであろう。しかし、一円当たりの満足度で考えれば、10回普通に飲んでもまだまだ及ばぬものがあろう。

 たまにはこういう贅沢を味わいつくして、仕事のストレスに汚染された精神を浄化したいものだ。
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コメント

それで海亀スープの味わいは如何に?

「バベットの晩餐会」は丁度一時帰国してる時に偶然観ましたよ。私は伯林で飲んだことがありますが、ドイツのスープはワインと共に食べるが基本で、結構しょっぱいので、コクはあるものの、味わいは疑問符が付きました。

  • 2008/03/28(金) 11:45:55 |
  • URL |
  • gramophon #mQop/nM.
  • [ 編集]

>gramophonさん

いや、素晴らしかったですよ!
確かに一度食べてみないと想像のつかない、独特のうまみ成分がたっぷり出ている感じでした。

少し日本人向けにしているのか、塩味はきつくなく、素材の味がどのようなものか、ストレートにわからせてくれる味付けでした。

詳細は前回の記事に書いていますのでそちらもご参照ください。

  • 2008/03/29(土) 11:58:13 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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