趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ピアノ協奏曲第21番、或いは音の快楽主義

 横浜人の私にとって気軽に出かけられる範囲の西の限界は渋谷までである。渋谷と新宿の間には深くて暗い川があり、新宿と池袋の間には鉄のカーテンが引かれていて、池袋から先には万里の長城が行く手を遮っているのである。

 その越え難い万里の長城を突破して、今日ははるばる保谷まで遠征を挙行した。オーケストラシンポジオンが、日本のフォルテピアノ界の第一人者の一人小倉貴久子氏を迎えてモーツァルトのピアノ協奏曲21番を演奏するからである。

 モーツァルトのピアノ協奏曲21番は、私がクラシックにはまるきっかけになった作品で、この曲との出会いがなければ今の私はないと言っても過言ではないだろう。
 この曲の最大の特徴は、第一楽章ピアノソロのめくるめく勢いで低音から高音へと駆け巡る音階のくり返しで、それがまるで澄み渡る青空の中をジェットコースターに乗って飛び回るような、あらゆる感覚が麻痺してただただ目くるめく快感だけが脳内を駆け巡るような感覚をもたらすのである。それはピアノという楽器の作り出す音の気持ちよさを極限まで引き出す音楽であり、天才モーツァルトだからこそできる仕事といえるだろう。

 それを今回は、モーツァルトが想定した音色をつむぎ出す18世紀末のモデルの楽器を用いて演奏される。現代のピアノは、鋼鉄のフレームに鋼鉄の弦を張り、それを共鳴用の木の枠に乗せて音を出すので、比較的キンキンした金属的な響きを持っているのに対し、当時のピアノは、木の箱に真鍮の弦を張り、その気の箱を直接響かせて音を出す構造になっており、現代のピアノに比べてかなり木質のコトコトした響きを持っている。
 そのコトコトした音色のピアノでその音階が奏でられるのだが、そのコトコト感が一音一音の粒立ちを際立たせ、音の流れの作り出す気持ちよさを一層強く味わわせてくれるのである。

 小倉さんの演奏はいつもながらファンタジアに満ち、この作品の計り知れない快楽を存分に味わわせてくれた。それをサポートするシンポジオンも、少々音量過多のきらいは合ったものの、しっかりと音楽の土台を固めてくれていた。

 一番好きな作品を、同時代楽器の実演で聴くことができたのは何とも幸せなことであった。
スポンサーサイト

コメント

東では?

横濱から見て、渋谷は北東に位置するので、東ではありませんか。城南に住むものにとって、新宿や池袋が遠く感じるのはよくわかります。

切符売り場の地図を念頭に置いてました(笑)

 ご指摘いただいて地図を紐解いてみたところ、確かに厳密には東でした。
 切符売り場の路線図を念頭に(というのは私はもっぱら電車でのみ移動しますので)、都内における私の行動範囲の相対的な位置関係としてご理解ください。
 ところで、去る土曜の蓄音機の会、てっきり来週と思い込んでおりました。もともと1日は中間決算棚卸立会で栃木に日帰り出張の予定があり、参加できなかったので、きっと自分に都合の良いように勘違いしていたのでしょう(苦笑)。興味ある演奏家ばかりラインナップされており、お伺いできず残念です。来月は是非。

  • 2005/10/04(火) 00:27:24 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

やっと念願の21番が聞けましたね。にしても、最近は全然コンサート行ってないなぁ。。。

  • 2005/10/05(水) 23:06:05 |
  • URL |
  • fratres #-
  • [ 編集]

Willkommen!

初カキコDanke!
しからば是非行くべきでしょう、何か。
こちらは3次試験あけにパルジファル見に行く予定。

  • 2005/10/06(木) 00:43:26 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tiberiifelicis.blog10.fc2.com/tb.php/43-f24f58db
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。