今日はまず、マルコ・ビースリーの歌を試聴してみた。
彼特有の、この上なく繊細、緻密、そして大胆な、魅惑のヴォーカルの音の質感が、一段上の表現力で描きだされてくる。何よりも、音がとても緻密で、解像度が非常に高いのだ。
チェンバロの才人グイド・モリーニの伴奏のこまやかなニュアンス、一音一音の表情付けの微妙な違いが、大変リアルに描き出される。驚くべきことに、音域の移動に伴う、音源となっているチェンバロの弦の位置の変化さえ、明瞭に感じ取ることができるのだ。
そして、ビースリーのヴォーカルは、彼の意図した表現の隅々まで、繊細かつち密に描き出してくれる。ザンクト・ファイト・アン・デア・グランでのコンサートの体験から、彼は声の表現力の豊かさに呼応するかのように、歌いながら表情豊かに体を動かすタイプの歌手である。ライヴ録音のその音源は、彼の「演技」によって声の方向が、音源の位置が、あちこち移動していくのを、忠実に描ききる。
これがセパレートアンプの威力か、と、感動せずにはいられない。これはいい買い物だった。
私の理想とする音は、まるでオーディオシステムなど存在しないかのような自然さ、透明感、解像度のリアルさをもった音である。この観点からは、本当にこのアンプは素晴らしいと実感する。
明日はフォルテピアノの表現を試してみようと思う。
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