趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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至高の歌声~迷宮的旅行記第6章(2)

 神戸のオフィス街は明治以来の伝統があるらしく、どことなく歴史を感じさせる気品がある。
 もちろん、明治時代の建物が残っているのは限られていて、ほとんどは現代のビルなのだが、それでも何かGenius Lociとでも言うべき何かを感じることができるのである。

 せっかくなのでカクテルでも飲めるバーを探してみよう、と思ったのだが、オフィス街にそんな気の利いた店があるはずはない。街並みを楽しんだのち、繁華街へと向かう。

 特に事前の下調べをしたわけではないので、動物的カンだけを頼りに良さそうな店を探していたのだが、どうもこの界隈は東京でいえば渋谷新宿的エリアらしく、どうにも騒がしい店が圧倒的に多くていまいち入る気がお乞わない。む、これは、と感じさせる店もないではなかったのだが、店から出ているオーラが一見さんお断り、と言った感じのものだったのでこれまたちょっと入る気になれず、結局そのままホテルに戻って眠ってしまった。

 翌朝、気を取り直して神戸観光の定番、異人館へと向かう。

 こちらは正真正銘明治の建築が残っていて、非常に味わい深い。こんな快適な屋敷に住んでいたら、どんなにか心地よいことだろう、と思いつつも、維持費が大変だろうなぁ、などと俗っぽいことをつい考えてしまったが、なかなかに楽しめるエリアであった。

 ひとしきり回ったところで、新神戸から地下鉄に乗り、JRに乗り換えて芦屋へ向かう。

 ここには、日本で最初に本格的なフランスパンを売り始めたというビゴの店の本店がある。
 皮のバリバリとした硬いフランスパンをこよなく愛する私としては、そんな話を聞いたからには食べぬわけにはいかない。神戸まで足を向ける機会があれば絶対に行こうと思っていたところだった。

 さて、「日本初の本格的フランスパン」は、本当にフランスで食べたフランスパンのように皮がバリバリとしていて、非常に力強い歯ごたえが心地よく、なるほど噂にたがわぬおいしさだ、と、心の底から納得したのであった。

 おなかが膨れたところで、コンサートの行われる西宮へと移動する。
 
 待ちに待ったアッコルドーネのコンサートは、前半がイタリア貴族の館で歌われた拡張高い宮廷歌曲、後半が庶民の伝承によるタランテッラであった。いずれも、根底にあるのはオスティナート・バッソで、いかにも私好みの素晴らしいラインナップであった。

 西宮の兵庫県立芸術文化センターの音響は大変素晴らしく、昨年ザンクトファイトアンデアグランで鑑賞した以上に素晴らしくマルコ・ビースリーの美声を堪能できた。しかも、ヴァイオリンはあのエンリコ・ガッティである。こんな贅沢なコンサートが他にあろうか!

 アンコールでは、彼の十八番、グアラッチーノの歌に加え、再びあの太陽の不在を嘆くかのような、繊細な”O sole mio"を聴くことができた。本当に素晴らしいコンサートであった。

 終演後、サイン会があり、しっかりいただいてきた。

 マエストロ・ビースリーに、イタリア語で、"Ho i tutti dischi di lei!"(あなたのCDは全部持ってます!)と伝えると、マエストロは破顔一笑、大変喜んでくれ、力強く握手をしてくれた。

 本当に、はるばる神戸まで来たかいがあったと思う。

 その後はJRで神戸に戻り、三宮から新神戸まで散歩して新幹線に乗り込み、帰路に就いたのであった。
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