趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ティベリウス帝の飲んだ味~古代ローマワインの再現

 あこがれのワイン、ヴィラ・デイ・ミステリを手に入れた。
 ポンペイの遺跡のブドウ畑で、古代ローマから育てられているブドウを育て、古代ローマの製法を再現したという、幻のワインである。

 年間2000本程度しか生産されていないそうで、入手の機会は極めて限られているうえに、値段も高い。このワインの存在を知ってからもう何年もたつが、売っているのを全く見たことがなかった。

 しかし、先日また思い立って検索してみたところ、なんと、かろうじて私にも出せないこともないギリギリの金額で、売っているのを見つけたのである。

 ちょっとしたあぶく銭が入ってきたこともあったので、思い切って購入した。

 ポンペイのあるカンパニア州は、ラクリマクリスティなど現在もワイン作りが盛んであるが、これは古代からの伝統で、ギリシア植民都市時代にはエノトリア、すなわちワインの地と呼ばれていたのだそうである。南イタリアのブドウと言うと、非常に渋みのどっしりとしたパワフルな濃いものを想像するが、はたしてどのような味なのか、期待に胸を膨らませつつ栓を抜いた。

 まずは香りを味わう。

 予想通り、どっしりとした重めの香りで、おお、南イタリアらしい、との第一印象だ。

 ところが一口口に含んでみると、予想外に鋭い酸味が私を驚かせた。きっと渋みの勝った味わいであろうと予想していただけに、この印象は鮮烈であった。
 しかし、その鋭い酸味は一瞬で過ぎ去って行き、あとにはやはり南イタリアらしい心地よい渋みと、ヴェスヴィオの火山灰の堆積したアルカリ性のテロワールを感じさせるかすかな苦み、そして、それらをバランスよくつなぎ合わせるほのかな甘みがあとに残るのである。

 印象としては、このあたりのラクリマクリスティや、同じ南イタリアのカラブリアやプーリアの赤ワインよりも、むしろキャンティやブルゴーニュワインに近いものを感じた。製法の違いか、ブドウ品種の違いか、テロワールの違いなのか、それはわからないのだが、やはりワインと言うのは奥が深い。

 確かにおいしいワインであったが、コストパフォーマンスと言う観点では、悪いと言わざるを得ないだろう。似たような味のキャンティやブルゴーニュなら、このワインの値段の4分の1も出せばお釣りがくる。しかし、ポンペイを建設したポンペイウスや、このすぐ近くのカプリ島に暮らしたティベリウス帝、そしてポンペイ滅亡時にこのあたりの地方長官を務めていた「博物誌」の著者、大プリニウスといったローマの人々がこういう味を楽しんでいたのかもしれない、と思うと、何とも心踊るではないか。タイムスリップを楽しむ費用、と言う意味ならば、まぁ納得のいくプレミアムだ。

 いずれにしても、このようなワインを飲むことができたのは貴重な体験であった。

080524_2259~01
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://tiberiifelicis.blog10.fc2.com/tb.php/448-30487f1e
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。