趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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続・ローマ軍の進軍速度もかくや~迷宮的旅行記第7章(3)

 向かったのは、トラステヴェレのサン・フランチェスコ・ア・リーパ教会である。
 ベルニーニ晩年の傑作、「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」が安置された教会だ。

 前回のローマの旅は、完全に古代ばかりに目が行っていて、もう一つのローマの華、ルネサンス・バロックは、ヴァティカン市国の外では全くおざなりであった。と言うわけで、この教会は、私にとっても初訪問となる。

 ごくごく小さな、ありきたりの町の教会のような入口を入り、奥の福祭壇に進むと、その彫刻が横たわっていた。

(画像)

 ・・・・・・この、官能!
 福者ルドヴィカが、天に召される様を描いた作品だそうだが、この香り立つようなエロティシズム。 エロスはタナトスと表裏一体だと言うが、タナトスを強調する反動宗教改革は近親憎悪でエロスを排斥しながらも結局はエロスの極致に行きついたのか。こうした表現こそ、ルネッサンスを経た後にやってきた反動宗教改革時代の芸術たるバロック宗教芸術の真骨頂であろう。

 続いて、場所は離れているが、公開時間を勘案して、はるばるサンアンドレア・でっれ・ふらって教会へ向かい、これまたベルニーニの天使像を鑑賞する。……しかし、福者ルドヴィカのあとでは、どうにも淡白な味わいだ。パワフルな赤ワインを飲んだ後にビールを飲んだような気分に陥ってしまった(苦笑)。

 だんだん入場可能なところがなくなってきたので、近いところで空いていたパンテオンに向かい、この完全な姿で現存する唯一のローマ時代の建築に感嘆したところで、初日は時間切れであった。すぐ近くのリナシェンテで買い物を済ませてホテルに戻り、夕食に向かう。

 ローマでは、ちょっと奮発して、かつての貴族の館を改装したというHotel Colombusに宿を取った。ここのラ・ヴェランダというリストランテが、当時そのままのフレスコ画で彩られた食堂をそのままリストランテにしたという店だと言うので、ここでチェーナと張り込むことにしたのである。

 しかし、いざ行ってみると、実にイタリアの高級店らしい、日本人には薄暗い(笑)照明で、ご自慢のフレスコ画は正直あまりよく見えない。しかも、冷房が入っていないので、室内は少々蒸し暑く、あまり快適ではない。と言うことでカメリエーレに外の席をすすめられ、素直に従うことにした。

 美しい庭の中のその席は、心地よい風も通り、なかなかに快適である。風がやむと少し暑い夜であったが、それでも自然の風を浴びながらのチェーナは素敵だ。

 一日歩きまわって疲れていたためか、アンティパストからフルに行くのは少々重かったので、プリモから始めることにする。私はリガトーニのカルボナーラ、母はブカティーニのアマトリチャーナを注文する。もちろん、複数人で行った時のお楽しみ、半分ずつ交換で(笑)

 前々から是非とも味わいたいと思っていた、生クリームを入れずに卵黄とチーズだけで作る本式のカルボナーラは、ねっとりとした何とも官能的な食感がさらに際立ち、忘れられない一皿であった。
 アマトリチャーナも、ちょっと塩をきつめにしてあって、イタリアらしい凝縮された感覚のトマトソースの酸味とのバランスが抜群。暑い夜にはおいしい味わいである。お勧めとして紹介してもらった、モンテプルチャーノのしっかりした渋みの利いた、それでいて後味がすっと引いていくために軽やかさも併せ持った赤がまた、カルボナーラにもアマトリチャーナにもよく合う。

 セコンドには、あえて二人とも同じく、ラツィオ名産の子羊を注文。ローマで子羊と言えば、オリーヴオイルにレモンでシンプルに味わうアバッキオが真っ先に思いつくが、こちらはTボーン、すね、チョップ、そしてなかなか味わえない胸腺をそれぞれにあった調理法で供してくれる盛り合わせであった。

 すね肉は、表面の皮のうまみを生かしてカリッと焼き上げて、岩塩で味わう。チョップはしっとりとした柔らかいレアに焼き上げ、酸味のさわやかな赤ワインベースのソースで、そしてTボーンはミディアムの焼き加減に、裏ごししたピスタッチオのクリームソースで味わう。胸腺は、もちろんフリットだ。
 どれ一つとっても、羊をこよなく愛する私には夢のようなおいしさだった。素材の味が、これほどまでに上手に引き出された羊料理は、全く初めての体験である。アバッキオも、ウィーンで食べたすね肉煮込みも、ザルツブルクで食べたロースト盛り合わせも、モン・サン・ミッシェルで食べたラムシチューも、どれも忘れ難い美味ではあるが、それでもこの一皿の前には脱帽である。

 ドルチェには、ジェラートの盛り合わせと、フルッタ・ミストを注文した。フルッタは、かなり満腹となってもおいしく食べられる、ベリー類の盛り合わせで、桑の実やラズベリー、ストロベリーなど、非常にさわやかな味わいを楽しめる。ジェラートは、もちろんおいしかったのであるが、町中の自家製ジェラテリアとの比較では、やはり専門家に軍配が上がるのは仕方あるまい。

 最後にエスプレッソを味わって、部屋に帰ってシャワーを浴び、歯を磨いて、夢見心地で眠りについたのであった。(続く)

 

 
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