趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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キリスト教時代の永遠の都~迷宮的旅行記第七章(4)

 翌朝、明るい自然光の下、例のフレスコ画のホールで朝食を取った。

 ……やはりと言うか、痛みが目立つ。確かに、素敵なフレスコ画装飾ではあるのだが、剥落やぼやけが目立つと、どうしても興ざめ感は否めない。朝食自体は、ハムやチーズの盛り合わせに卵料理もついた、大変豊かなイギリス式朝食で、申し分ないものであったのだが、やはり「ラ・ベランダ」という名にふさわしく、テラス席の方が良さそうである。

 昨日の買い物を収納するスーツケースを購入すべく、テルミニ駅に向かい、運よくうってつけのスーツケースを調達して、紙袋の中身を移し替え、地下の荷物預かり所にすべて預けて、身軽になって街に繰り出す。

 まずはナヴォーナ広場に向かった。母はダン・ブラウン(「ダ・ヴィンチ・コード」の作者)の小説「天使と悪魔」を読んで以来、ベルニーニの作品にいたく感心を深めたようで、ここのお目当ても、名高い四大河の噴水であった。・・・・・・が、あろうことか修復中。EUのディーゼルエンジン車推進運動の影響か、どす黒く黒ずんでしまった彫刻を真っ白に磨き上げる作業の真っただ中だったようである。

 気を取り直して向かった先は、テヴェレ左岸にある、サンティッシマ・トリニタ教会と言う、地球の歩き方はおろかロンリープラネットにすら載っていない、街の教会である。ここでは、今上教皇の肝いりで推進されている、古式ゆかしいラテン語によるトリエントミサの復興運動のローマの拠点とされている教会なのである。今上教皇のこのトリエントミサの復興運動は、個人的にはそれだけで列聖に値する素晴らしい政策だと思うのだが、どうも日本ではあまり共感を呼んでいないようなのが残念でならない。もし、横浜あたりにも教皇の意向をくんでトリエントミサの復興拠点ができたら、私ももう少し…(以下略)。

 ともあれ、ヴィスコンティの映画や「ニューシネマパラダイス」の冒頭、そして「ゴッド・ファザー」などに断片的に出てくる、荘厳で恭しいあのラテン語のトリエントミサというものに憧れていた私にとって、またとない機会であったので、片隅で参列させていただくことにした。

 ……いやあ、何から何まで全く違う。こんな素晴らしいものをなぜ廃止してしまったのか、全く理解に苦しむとしか言いようがないのであるが、司祭も信徒も一緒に祭壇に向かって、所謂「背面式」で、一つ一つの所作を大変恭しく厳粛に執り行われるミサの儀式は、日本語で対面式で行われるそれとは比べようもないほど素晴らしいものであった。また、ポリフォニーのミサ曲も、石造りのバロック装飾豊かな荘厳な聖堂の中で、しかも生きたミサの儀式の中で耳にすると、えもいわれぬ陶酔感があり、なるほどかつての人々に今では考えにくいほど信心深い人々がいたのもうなずけるものであった。

 荘厳な儀式で心を現れたのち、パンテオン周辺のカラヴァッジョの祭壇画のあるサン・ルイージ・フランチェージ教会を尋ねる。カラヴァッジョの独特の強烈な迫力は、本当にすさまじく、実物の放つ強烈なオーラは、非常に忘れ難いものがある。彼の祭壇画は、主祭壇の左隣の副祭壇に安置されているのだが、この副祭壇でトリエントミサが挙行されたら、それはどんなにか素晴らしいことだろう。

 その後サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会で前期ルネッサンスの傑作を鑑賞したのち、スペイン階段まで歩き、そこから地下鉄に乗ってポポロ広場へ移動する。

 これまた母の行きたかったキージ礼拝堂のあるサンタ・マリア・ポポロ教会を尋ねたのだが、何とこれまた修復中であったのだ。とはいえ、このあたりで濃厚な宗教芸術には少々おなかいっぱいになっていたところだったので、ある意味ちょうどよ方のかもしれない。一転、趣向をキリスト教以前の古代に移し、コルソ通りをまっすぐ進んで、前回修復中で訪ねることができなかったアラ・パチスに向かう。(続く)
 
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コメント

miles的・・・

前々から思っていたのですが、
Tiberius Felixさんの生まれた時代・場所・階級は全てご本人とミスマッチですよね。
もし、封建時代の西欧の貴族階級に生まれていれば、Tiberius Felixさんももう少し・・・(以下略)。

  • 2008/07/26(土) 20:27:08 |
  • URL |
  • sine nomine #-
  • [ 編集]

・・・・・・確かに(苦笑)

  • 2008/07/26(土) 22:07:33 |
  • URL |
  • Tiberius Felix #-
  • [ 編集]

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