趣味の迷宮 ~LABYRINTHVS AD PARNASSVM~

作者Tiberius Felixの迷宮的な趣味に関する雑記帳。 主に音楽、映画、読書、語学、グルメなどの感想・論評を中心に、興味の赴くまま無秩序に迷宮的に書き綴っていくつもりです。

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エトルリアからロンバルディアへ~迷宮的旅行記第7章(10)

 ミラノはロンバルディアの州都である。
フィレンツェからES*でミラノに降り立つと、やはり町の雰囲気ががらりと変わることに気づく。

 フィレンツェ以上に、整然としているのである。逆に観光客的に見るとちょっと整理されすぎていて面白みが弱い、と言えなくもない。あるいは、ミラノの町で強く感じるように、金髪・碧眼の割合が高まり、州の名が示すようにロンバルディア族の支配を経て混血が進み、ゲルマン的になっていったのかもしれない。歴史的にもオーストリアの支配下にあった時代が長かったことも一因だろう。ミラノの名門貴族、ヴィスコンティ家出身のルキノ・ヴィスコンティがゲルマン趣味だったのもそう言う背景があるのかもしれない。そう言えば、日本人のイメージするイタリア像に強い影響を残したに違いない、この上なくイタリア的な世界を描くフェリーニの出身地リミニは、共和政ローマの退役軍人たちの建てた植民都市で、ローマ人、エトルリア人、ウンブリア人、ギリシア人の混ざり住む町であった。

 駅のすぐ近くのホテルにチェックインを済ませ、まずは食事を取りに行く。
 無難に地球の歩き方を参考に、美味しそうな地元料理のトラットリアへ、地下鉄で移動する。

 メニューを見て、何よりもうれしく飛びついたのが、アンティパストのクラテッロであった。
 初めてパルマを訪ねた時以来、すっかりその素晴らしい食感と味わいの虜になっていたのであるが、エミリア・ロマーニャとロンバルディアにしか出回っていない様子で、この州の町を訪ねた時はほぼ必ず食べている。日本にも輸入されてはいるが、目玉の飛び出るような値段がついていて、しかもプロシュートの長旅の疲れ具合から想像されるクラテッロの味わいの変化を想像するとちょっと手が出ないだけに、イタリアで目にしたら何をおいても注文するようにしているのである。

 カメリエーレのお勧めに従って頼んだ、発泡性の辛口赤ワイン(辛口のランブルスコの渋みを少し強化したような味わいであった)が、またよく合う。クラテッロの、ひと噛みするやほろりとろりととろけてゆく食感に非常に滋味豊かな熟成された肉のうまみ、絶妙の塩加減が、このワインの赤の発泡性にしては強めの渋みと炭酸の刺激にぴったり合う。

 昼食をきちんと取ったためか、それほどの空腹でもなかったところに加え、なぜかセコンドピアットのメニューにオッソブーコの煮込みリゾット・アッラ・ミラネーゼ添えなる、プリモとセコンドの一体となったお得メニューが載っていたので、これに飛びつくことにする。

 オッソ・ブーコは、前回ミラノを訪ねた際食べ逃していたので、今回が初めての体験であったのだが、ちょうどカニを食べる専用のスプーンのような細長いスプーンでゼリー状になるまで煮込まれたすね肉の骨髄をすくいとって味わうのである。

 ……なんという豊かなコクであろう!丁度焼き肉店の定番メニューのコムタンスープの味を想像していただければ非常に煮た味わいなのであるが、このうまみの凝縮度合いはコムタンスープの数倍に匹敵しよう。コラーゲンとゼラチンのとろりとした濃厚なコクは本当にパワフルで、ほんのわずかになめただけでも口中にズシンと重厚な味わいが広がるのである。

 骨のまわりの正肉も、ナイフがすっと入り、舌で押しつぶすだけでほろほろと崩れるまで柔らかく煮込まれていて、非常に美味である。溶け出した骨髄のうまみをたっぷり吸いこんでいるに違いない。

 一緒に盛られたリゾット・アッラ・ミラネーゼも、華やかなサフランの香りと色合いに、チーズの深い味わい、そして若干やわらかめながら、アル・デンテは維持した米の煮加減が絶妙だ。

 いずれも超重量級の味わいであるので、必然的にワインもそれに負けぬ渋みの利いたコクのある味わいが求められるところであるが、カメリエーレお勧めの例のワインは、そうした意味でも十分な重量感を持ち、さらに炭酸の刺激が加わることで飲み口がさわやかになって、セコンドとの組み合わせも抜群であった。

 コントルノに、蒸し野菜の盛り合わせを食べて、デザートはティラ・ミ・ス。やはりティラ・ミ・スは北の方がおいしい。エスプレッソで締めて、タクシーでホテルに戻り、眠りについた(続く)。

 
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